金木犀(金子みすゞの詩)
爽やかな秋の風を感じながら玄関に立っておりますと、どこからともなく金木犀の甘い花の香りが漂ってきました。
毎年この香りをかぐと、懐かしい子供の頃を思い出します。
思い出って目にするものだけでなく、匂いや香りだけでも、ふと色々な思い出が蘇ってくることがあります。
私にとっては思い出がいっぱい詰まった秋の香りですが、金子みすゞさんの可愛らしい「もくせい」の詩をご紹介いたします。
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「 もくせい 」
もくせいのにおいが
庭いっぱい
表の風が、
ご門のとこで、
はいろか、やめよか、
相談してた。
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心がほのぼのとする詩です。
ほんのりとした庭一杯に漂う甘い香り。
「はいろか、やめよか、相談してた」というところは、風の戸惑っている優しさが、目に浮かぶようで心が和みます。
香りを運んでくれる風に、改めて「ありがとう!」って伝えたくなります。