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【12月の天体ドーム】初めての天体観測にお勧め!夜空をはばたくオリオン大星雲や星団、約400年ぶりとなる木星と土星の「超大接近」をご紹介いたします。

惑星に星団、肉眼でも見えるほど明るい星雲など、12月はきらきら輝く星空が広がります。

こんばんは。大谷山荘・天体ドームです。2020年12月にご覧いただける、長門湯本温泉の星空情報をご案内いたします。
(画像:大谷山荘・天体ドームの望遠鏡より撮影したオリオン大星雲)

三ツ星の下でひかるオリオン大星雲や、神話がのこるプレアデス星団など、代表的な冬の星々を見つけてくださいませ。

すっかりあたりは冬らしくなり、澄んだ夜空からまばゆい星の光を感じるようになってまいりました。冬は強い光を放つ一等星の数が多く、年間通して21個ある内の8~10個が夜空に現れると言われています。「星には興味があるけど、どれがどの星か分からない・・」という方は、まずは明るく見つけやすい星の周辺から覚えてみてはいかがでしょうか。冬の代表的な星座、オリオン座はその中央にある三ツ星が目に入りやすく、まちなかからも見えやすい星座です。その三ツ星の下方には縦に3つ小さな星が並んでおり、その内の真ん中にあるのがオリオン大星雲です。地球からは約1300光年の距離にあり、肉眼でもぼんやりと光る様を確認できますが、望遠鏡で拡大して観察するとちょうど、鳥が翼を広げたような形をご覧いただけます。また、今月も観望を迎えるプレアデス星団は、オリオン座の近くで赤く光るアルデバランというおうし座の星の向かいに見えております。同じく若い星の集まりであるペルセウス座二重星団は、W型に星がならぶカシオペア座の近く、天の川上にあります。明るくて目印になる星が多いですので、これを期に実際の夜空と蓄えた知識を照らし合わせてみてはいかがでしょうか?

木星と土星が「超大接近」。二大惑星が兄弟のように並ぶ姿をご覧いただけます。

(天体ドーム屋上よりカメラで撮影した木星(右下)と土星(左上) 撮影:12月5日19:00頃)

夕方から日が暮れてすぐの早い時間帯に、南西の低空に見える木星と土星。2つの惑星が沈むまでに観察できる時間帯は、12月上旬で3時間ほど、下旬では2時間ほどとなっています。山々に囲まれた当館からはちょうど、その稜線の間際に明るく輝く2つの惑星が見えてまいります。明るい方が木星、その側で輝くのが土星です。公転の周期が重なるため、地球からは互いに接近して見え、12月17日~25日頃に「超」大接近、特に21日、22日頃には肉眼で観察すると1つの星に見えるほどに近づきます。今回ほどの接近は約400年ぶりという大変貴重な機会です。次回は約60年後になりますので、生まれたばかりで今年は観測できない令和生まれの赤ちゃんも還暦の頃にはご覧いただけるかもしれませんね。17日には細い月も接近し、不思議な光景がひろがります。あいにく観測時間帯の関係上、天体ドームでのご紹介ができかねますが、お近くに視界がひらけた高い場所がございましたら、肉眼でも楽しめる星ですのでぜひご覧くださいませ。

(参照:2020年12月木星と土星の超大接近 AstroArts)

また、冬の定番「ふたご座流星群」により12月も流れ星チャンスがやってきます。一番の見頃となる13日宵から14日明け方は、月あかりの影響がないため、絶好の観測機会となっております。ふたご座流星群の流れ星は明るいものも多く、条件が良いところでは1時間あたり50個以上、まちなかでも1時間に10個程見えると予想されています。寒さが厳しくなっておりますので、長時間外に出られる際は、防寒対策に気をつけてご覧くださいませ。
※流星は瞬時に流れていく為、天体ドーム内でのご案内・望遠鏡での観測は致しておりません。ご興味がございましたら、空を見上げてみてくださいませ。流れる場所は夜空全体ですが、放射点となるふたご座に近い、オリオン座周辺に目を凝らすと分かりやすいかもしれません。双眼鏡か肉眼で、よく見渡しながら見つけることをお勧めいたします。
(参照:2020年ふたご座流星群 AstroArts)

12月の星にまつわる話

プレアデス星団について

先月に引き続きご紹介しております、プレアデス星団。肉眼で見える光の強い星は6~7個ですが、双眼鏡で観察するとその10倍もの星が集まって見えます。星団でありながら、おうし座の一部として結ばれており、赤く輝く星アルデバランの向かい側にみえます。日本では古来から「六連星(むつらぼし)」や「すばる(昴)」と呼ばれており、平安時代には、清少納言が枕草子に記した「星はすばる。ひこぼし。ゆふづつ。よばひ星、すこしをかし。尾だになからましかば、まいて。」(訳:星はすばる、ひこぼし、宵の明星が良い。流れ星も少し趣がある。尾を引かなければもっとよいのだけれど。)という一節が有名です。プレアデス星団の名前は、ギリシア神話に由来し、巨人アトラースとニンフ(女神)のプレーイオネーの間に生まれたプレイアデス7人姉妹(アステロペー、メロペー、エーレクトラー、マイア、ターユゲテー、ケライノー、アルキュオネー)を指しています。7人姉妹は非常に美しかった為にオリオンに追われ、逃げまどった彼女たちを助けるべく、ゼウスがハトにした後、星に変えたと言われています。今でも冬の夜空にはプレアデス星団の近くに輝くオリオン座。空にのぼってもなお追いかけるように移動しています。

ツリーに見える?!散光星雲と星団が形作るクリスマスツリー星団

もうすぐクリスマス。この季節に天頂にのぼる星に、なんとクリスマスツリーに見える星団がございます。いっかくじゅう座の散光星雲、コーン星雲、狼の毛皮星雲、三角形に広がった散開星団が組み合わさって見え、その姿から、クリスマスツリー星団(NGC2264)と呼ばれています。いっかくじゅう座の方向に約2600光年進んだところにあるとされており、夜空の中から探す際は、オリオン座の肩部分で光るベテルギウス(赤い星)と、その左方向に光る子犬座のプロキオンの間あたりが目印となります。双眼鏡でも見えますが、望遠鏡でみる時は上下逆さまに映る為、少々想像力が必要になります。一番強く光る星をツリーの根本とみたてると、その上部に星がツリー型に広がり、頂点には黒い切れ込みが入ったような「コーン星雲」が見えます。クリスマス星団の星は同時期に生まれ、周辺は淡い星間ガスに包まれており、条件が良いときに観測するとその赤い星雲もみえてくるようです。クリスマス星団の美しい写真は、天体写真家の吉田隆行氏のサイトがお勧めです。

12月の星空情報

星空観測スケジュール(予定)

  • 12月 1日(火)~ 3日(木)  月、プレアデス星団(すばる)、ペルセウス座二重星団
  • 12月 4日(金)~ 19日(土) プレアデス星団(すばる)、ペルセウス座二重星団、オリオン大星雲
  • 12月20日(日)~ 31日(木) 月、プレアデス星団(すばる)、ペルセウス座二重星団、オリオン大星雲

12月の星空トピック

  • 12月 7日(月)・・・大雪
  • 12月 8日(火)・・・下弦
  • 12月14日(月)・・・ふたご座流星群が極大
  • 12月15日(火)・・・新月
  • 12月22日(火)・・・上弦
  • 12月21日(月)・・・冬至
  • 12月30日(水)・・・満月

長門の日の入り時刻は17:06頃でございます。
山口県の日の入り時刻は、国立天文台の公式サイトでご確認いただけます。
(参照:国立天文台の公式サイトへ

~天体ドームからのお願い~

12月初旬の夜の気温は1~3℃と冬の寒さが厳しくなってまいりました。上着を着ていても長時間の滞在にはさらに注意が必要でございます。天体ドームでは例年半纏をご用意してお客様をお迎えしていましたが、本年は新型コロナウイルス感染防止の観点からご用意することができません。ドーム内は屋根が開いているため気温が外と同じで大変寒くなります。天体ドームにお越しの際は各自で防寒対策をされますようお願いいたします。特に温泉に入られてからの来場は湯冷めをしやすくなります為お気をつけ下さいませ。

天体ドームご予約方法

詳細情報

開館時間…19:30~22:10
休館日…毎週火曜日
場所…大谷山荘屋上(8階ギャラリーに併設)
料金…ご宿泊のお客様無料(先着予約制)
ご利用方法…先着予約制 ※現在人数制限をしてご案内致しております。

観測スケジュール

19:30、19:50
20:10、20:30、20:50
21:10、21:30、21:50

ご予約方法

上記よりご希望の時間をお知らせくださいませ(お電話またはご要望欄に記載くださいませ)。
※満席の場合や天候によりご覧いただけない場合がございます。
※天候により星空が観測いただけない場合は、過去の映像をご覧いただけます。

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■よくある質問 
「なぜ、屋上に天体ドームがあるのですか?」

「お客様にも長門の美しい星空を眺めていただきたい」長門/仙崎出身の金子みすゞ氏の詩を愛する
当館相談役の発案で屋上に設置いたしました。
実は、金子みすゞ交流会のご縁で出会った理学博士佐治晴夫先生のお言葉「目に見えるものが、
全てではありません。真昼のお星をご覧いただきましょう」と、玉川大学の天文台で見た真昼の星の美しさに
感動したことが始まりでございます。 
のどかな里山の自然に包まれた長門の夜空の記憶を、旅の思い出にお持ち帰りくださいませ。

 星空についての豆知識

光の速度
  • 光は1秒間に約30万Km(地球を7周半)進み、1年では9兆4600億Kmにもなります。
  • 太陽の光は地球に達するまでに8分19秒かかります
  • 月の光は地球に達するまでに1.3秒かかります
宇宙の距離単位
  • 宇宙はとても広大なため、星と星の距離単位として「光年」「天文単位」を用います。
  • 1光年=光が1年間に進む距離(9兆4600億Km)
  • 1天文単位=太陽と地球の距離(約1億5000万Km)
地球の時間
  • 1日は24時間ですが、地球の自転(1回転)の時間は23時間56分と約4分程ずれが生じます。
  • 「うるう年」を設けて調整しているのは、公転周期が365日に少し足りないからです。
  • 地球の自転(23時間56分)=400m/秒
  • 地球の公転(365日)=30km/秒
もっと詳しく星空のことを知りたい時は、 「国立天文台ほしぞら情報」 のサイトが大変参考になります。ぜひご覧になってくださいませ。