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【2月の天体ドーム】仲良く並ぶふたご座や冬のダイヤモンドを構成するプロキオン、かに座の中心にあるプレセペ星団を観測

二十四節気では一年の始まりとなる2月。冬の天体を中心に、春の星座も顔を出す頃です。

こんばんは。大谷山荘・天体ドームです。2021年2月にご覧いただける、長門湯本温泉の星空情報をご案内いたします。

ふたご座やかに座など、なじみ深い星座にまつわる星に注目します。

立春を過ぎ、暦の上では春が訪れておりますが、南の夜空の主役は冬の星々、ギラギラと輝く1等星が広がっています。
冬のダイヤモンドの一つであるプロキオンはシリウスが天に昇る前に夜空に現れる為、シリウスとペアになる星として古くから知られており、それぞれの星座(こいぬ座、おおいぬ座)が生まれる前から親しまれていました。神話の上ではそばに並ぶオリオンの猟犬として伝えられています。

画像:ふたご座。青で囲んだ星がカストル、オレンジで囲んだ星がポルックス。
画面右上に見える赤い星はオリオン座のベテルギウス、右下で強く光る星はこいぬ座のプロキオン。

プロキオンから天頂の方に目線を動かすとふたご座があります。ふたご座はお兄さんの星・カストルと弟の星・ポルックスが並ぶ星座です。神話では、弟だけが不死身で生まれてきた為にお兄さんと運命を違うというストーリーになっています。カストルは、肉眼で凝らしてみても1つの星にしか見えませんが、望遠鏡で観察するとくっつくように並んだ2つの光が見えてきます。さらに細かく見ていくと、実はこれらが6つの星で構成されており、対になった連星3組でできていることが分かってきます。そしてこの3組の連星同士も同じ重心を持ち、互いをまわり合っているのです(六連星)。ちなみにこの6つの星が集まった光の強さは絶対等級で0.62等となりますが、地球からは約51光年離れており、弟のポルックスよりも17光年程遠いところにある為、見かけの等級は1.58等(=2等級)とポルックスに負けてしまいます。それでも夜空ではしっかりと輝き、隣同士で並ぶ姿はやはり双子のようですね。

また、春の星座であるかに座には、プレセペ星団という数百もの星が集まった散開星団があります。かに座の甲羅部分で四角形のように位置する星々の真ん中で輝いており、「かにみそ星団」とも呼ばれています。かに座が3.8等星以下の光の小さな星でできている為、空の条件によってはプレセペ星団の方が見つかりやすいかもしれません。場所はふたご座のポルックスとしし座のレグルスの間、もしくは、冬の大三角形のシリウスからプロキオンの方を見つめた先あたりでお探しくださいませ。星団の大きさは13光年で、先月ご紹介したおうし座の角あたりにある「かに星雲」よりも大きい集まりです。中国では「積尸気(ししき)」と呼ばれ、亡くなった人から立ち上る魂が集まるとも考えられていたそうです。双眼鏡や望遠鏡で覗くと幾つもの星が輝き、美しいさまをご覧いただけます。

2月の星にまつわる話

立春や節分はどうやって決まる?

今年の立春は2月3日、例年より1日早くなっていました。合わせてその前日である節分は2月2日となり、このような日付になるのは124年ぶりとのことで話題になりました。なぜ年によって日付が変わってしまうのでしょうか?そもそも立春などの節目は二十四節気という暦によるもので、地球が太陽からみてどの位置にあるか(立春は、太陽の黄径が315度に達した日)によって決まり、毎年どの日が節目となるかを国立天文台が発表しています。地球が太陽のまわりを一周するのにかかる期間は正確には365.2422日(365日と5時間48分46秒)となるため、このずれを調整するために閏年を入れて調整していますが、暦についてもそれでも調整しきれない端数が積もり積もって今年は基準日が1日早くなっています。閏年は正確には4年ごとではなくて、西暦が100で割り切れて、さらに400で割り切れない年(2100年など)は閏年にならないという細かい決まりがあるそうです。二十四節気の変動についての詳しいお話は国立天文台のページをご参考にご覧くださいませ。

春の星空は、雲行きだけでなく黄砂の影響も要チェック。

春が近づくと日本にやってくる黄砂。発生地は大陸のゴビ砂漠やタクラマカン砂漠などの乾燥地帯で、夏は降雨、冬は積雪で舞うことのなかった砂が春になって偏西風により運ばれると言われています。黄砂自体は、数万年前から日本にも届いており、歳時記では「つちふる」という言葉で春の季語として使われています。影響が強い時には空が黄色くなったり、車の窓ガラスに塵が積もったりする場面がございますが、こうした黄砂の影響は、日中だけでなく、夜空の見え方にも関わっています。気温が低く空気が乾燥しているような日でも、黄砂が多い日には、空が霞んで見え星の輝きが小さくなってしまいます。これからの季節で「今日は天体観測をするぞ!」という方は、ぜひ雲行きだけでなく、黄砂の濃度も確認してみて下さいませ。

黄砂の情報はこちら:気象庁・黄砂観測実況図

2月の星空情報

星空観測スケジュール(予定)

  • 2月 1日(月)~2月15日(月) かに座 M44プレセペ星団、M42オリオン大星雲、ふたご座カストル
  • 2月16日(火)~2月28日(日) 月、かに座 M44プレセペ星団、M42オリオン大星雲、ふたご座カストル

2月の星空トピック

2月 3日(水)・・・立春
2月 5日(金)・・・下弦
2月12日(金)・・・新月
2月18日(木)・・・雨水
2月20日(土)・・・上弦
2月27日(土)・・・満月(スノームーン)

長門の日の入り時刻は17:46頃でございます。
山口県の日の入り時刻は、国立天文台の公式サイトでご確認いただけます。
(参照:国立天文台の公式サイトへ

~天体ドームからのお願い~

夕日の沈む頃が日に日に延びて参りました。先月に比べると日中は陽気を感じることが増えておりますが、まだまだ夜は気温が低い状況でございます。天体ドームでは例年半纏をご用意してお客様をお迎えしていましたが、本年は新型コロナウイルス感染防止の観点からご用意することができません。ドーム内は屋根が開いているため気温が外と同じで大変寒くなります。天体ドームにお越しの際は各自で防寒対策をされますようお願いいたします。特に温泉に入られてからの来場は湯冷めをしやすくなります為お気をつけ下さいませ。

天体ドームご予約方法

詳細情報

開館時間…19:30~22:10 休館日…毎週火曜日 場所…大谷山荘屋上(8階ギャラリーに併設) 料金…ご宿泊のお客様無料 ご利用方法…事前予約制。ご宿泊日までは予約センター、当日はフロントまでお問い合わせ下さいませ。 ※現在人数制限をしてご案内致しております。

観測スケジュール

19:30、19:50 20:10、20:30、20:50 21:10、21:30、21:50

ご予約方法

上記よりご希望の時間をお知らせくださいませ(お電話またはご要望欄に記載くださいませ)。 ※満席の場合や天候によりご覧いただけない場合がございます。 ※天候により星空が観測いただけない場合は、過去の映像をご覧いただけます。

天体ドームからの情報一覧へ

■よくある質問 
「なぜ、屋上に天体ドームがあるのですか?」

「お客様にも長門の美しい星空を眺めていただきたい」長門/仙崎出身の金子みすゞ氏の詩を愛する
当館相談役の発案で屋上に設置いたしました。
実は、金子みすゞ交流会のご縁で出会った理学博士佐治晴夫先生のお言葉「目に見えるものが、
全てではありません。真昼のお星をご覧いただきましょう」と、玉川大学の天文台で見た真昼の星の美しさに
感動したことが始まりでございます。 
のどかな里山の自然に包まれた長門の夜空の記憶を、旅の思い出にお持ち帰りくださいませ。

 星空についての豆知識

光の速度
  • 光は1秒間に約30万Km(地球を7周半)進み、1年では9兆4600億Kmにもなります。
  • 太陽の光は地球に達するまでに8分19秒かかります
  • 月の光は地球に達するまでに1.3秒かかります
宇宙の距離単位
  • 宇宙はとても広大なため、星と星の距離単位として「光年」「天文単位」を用います。
  • 1光年=光が1年間に進む距離(9兆4600億Km)
  • 1天文単位=太陽と地球の距離(約1億5000万Km)
地球の時間
  • 1日は24時間ですが、地球の自転(1回転)の時間は23時間56分と約4分程ずれが生じます。
  • 「うるう年」を設けて調整しているのは、公転周期が365日に少し足りないからです。
  • 地球の自転(23時間56分)=400m/秒
  • 地球の公転(365日)=30km/秒
もっと詳しく星空のことを知りたい時は、 「国立天文台ほしぞら情報」 のサイトが大変参考になります。ぜひご覧になってくださいませ。