- 季節の催し
- 2021/10/03
【秋の催し】山口の伝統工芸「萩焼」。ろくろ回しや模様入れの工程を本格体験しませんか?
萩焼の先生に習いながら電動ろくろで陶芸体験。見島土の粘土や化粧掛けの工程を取り入れて、味わい深く仕上げます。
夏休みにご家族ぐるみで参加いただいております萩焼体験を、この秋には仕様を変えて、さらに細部までこだわって創作したい方の為の本格的なコースをご用意いたしました。体験時間は60分に拡大し、ろくろ回しの他、装飾や模様入れも行っていただけます。素地には色の濃い赤銅色の見島土を使用しており、成形の最後に化粧掛けを施すことで、深みある仕上がりに。大きさも皿や花瓶など、幅広い作品づくりに挑戦いただけます。萩焼は、原料に使われる陶土と釉薬の特性により「貫入」というひび割れがある為に、使っていくうちにまた色合いが変わり、趣きが出てくると言われています。ぜひ山口を旅した思い出に、ここでしか味わえない体験をお愉しみくださいませ。
[秋の萩焼・本格体験の詳細]
期間:2021年10月1日(金)~11月29日(月) ※事前予約制
時間:19:30~22:00 (19:30/20:00/20:30/21:00 から開始時間をご選択) ※火曜日定休
場所:8階ギャラリー月の風
料金:11,000円(税込)
人数:1~4名(1日2組限定)
ご予約方法:お電話又は宿泊プランのオプションよりお申し込みくださいませ。
TEL:0837-25-3300(営業時間9:00~18:00)
※作品は窯元で焼きあげた後、約3~4週間後に完成予定です。ご自宅に郵送が可能です。(送料別)
-体験内容-
- 粘土・・・大道土と見島土の混合
- 工程・・・ろくろ回し+装飾作成・模様入れ
- 技法・・・化粧掛け+藁灰釉の釉掛け
- サイズ・・・皿や鉢、花瓶など約20cmの大きさまで
- 時間・・・・60分
※釉薬のかかり具合や仕上がりの色味指定は不可(後日に施す必要があること、焼き上がりは窯の状態などによることからお受けできかねます)
※装飾の接着は先生一任
具体的なイメージがございましたら、スケッチや画像をご持参いただくことをお勧めいたします。先生がデザインを確認しながら、可能な限り実現できるようにご指導くださいます。手びねり(粘土細工のように手でこねての制作)はできかねますこと予めご了承くださいませ。
山口県の伝統工芸「萩焼」のいろは
[歴史]
萩焼は、1604年に毛利輝元が朝鮮半島から率いた陶工、李勺光と李敬の兄弟を祖としています。ともに萩城下で御用窯を築いていましたが、のちに弟の李敬が萩市で「松本萩」を、兄の李勺光とその弟子たちが長門市で「深川窯」を興しました。「深川窯」は当館から徒歩10分ほどのところにある窯元で、各家で名を受け継ぎながら今日まで作陶を続けられています。
[原料]
- 大道土(だいどうつち)・・・山口県防府市台道や山口市陶でとれる白色の土で、江戸時代から使用されている伝統的な原土です。
- 見島土(みしまつち)・・・山口県萩市見島でとれる鉄分を大量に含んだ赤銅色の土です。軽い土で単体では使用されず、大道土に混合するなどして取り入れています。
- 金峯土(みたけつち)・・・山口県萩市福栄村でとれる白色の土で、粘性を抑えて耐火度を高めるために使用されています。
萩焼の基本的な性質は大道土によるもので、耐火度が高く粒子が荒いという特性から生地に隙間が残ります。そして釉薬による縮みで「貫入」という細やかなひび割れが起きることで、独特の風合いが生まれます。防府市大道から窯元のある萩市までは約60キロ。当時からこの長い道のりを越えて原料を取り寄せてきたというところにこだわりが見えてきます。
[工程]
原土・土踏み→成形:ろくろ回し・(高台けずり)・化粧掛け→素焼き→釉掛け→窯積み→焼成
「ろくろ回し」で全体の形をつくった時の粘土の状態は、指で押すとすぐに形が崩れてしまうほど繊細です。その為模様入れや口の部分の成形などはこの段階で行えますが、取っ手や耳を付ける場合は一旦乾かしてから後日接着をするようにします。「高台けずり」は、お茶碗の底の部分を削り落とす工程です。中には高台の一部を削り落とす「切り高台」を施すこともあり、造形表現の一つとなっています。成形が終わったら、粘土を乾燥させて「素焼き」をし、「釉掛け」をしてから再度窯焚きをしています。釉薬をかけるのは、表面をガラス質に変えることで強度が増し、水を吸収しにくくなるという実用面の効果、素地の部分と釉薬をかけた部分で色味や質感の違いが生まれ、表現豊かになるという装飾効果があります。仕上がりはどこに窯積みするかや、どのように焼成するかでも変わり、職人の想像を越えた偶然の色合いが生まれることもあるそうです。
秋の萩焼・本格体験のポイント
完成イメージ
粘土
大道土と見島土をブレンドした粘土を使用しています。大道土のみの時よりも赤みが強くなり、焼成後の仕上がりも、より趣き深くなります。
技法
粘土に使用している見島土が持つ、赤銅色の暗い色目を生かせる表現技法「化粧掛け」の工程を加えました。素焼き前に「化粧掛け」の工程を加えることで、素地を白くなめらかに見せることができます。釉掛けの工程のみで仕上げる時よりも、色相が増えて味わいある風合いが期待できるようになります。
大きさ
こだわりの作品づくりの表現幅が広がりますよう、粘土をしっかりとご準備しました。皿や鉢、花瓶など、仕上がりが約20cmほどの大きさまで挑戦いただけます。萩焼は焼成後に成形時より1割ほど小さくなると言われていますので、想定よりも少し大きめに制作してくださいませ。体験時間の目安は、ろくろ回しで約30分、模様入れなどの装飾で約30分。じっくり土と向き合っていただけます。
制作後はどんな仕上がりに?大谷山荘スタッフが挑戦してみました。
大谷山荘スタッフで、お抹茶茶碗と花瓶づくりに挑戦してみました。回転する粘土の塊を同じ厚みで引き伸ばしながら理想の形を造るのは思ったよりも難しい作業でしたが、先生がしっかりとサポートして下さったお陰で無事成形ができました。後日焼き上げた後の様子を更新いたします。
萩焼が焼き上がりました。(更新:2021/10/18)
制作した萩焼が焼き上がりました。成形をしていた時からは想像できないほどに優美な姿になっていました。後日に先生が施した釉薬が平坦な側面に景色を生み出し、趣ある佇まいへと仕上がっています。ろくろを回した時には大きく感じましたが、焼き上がるとしっくりと手に馴染むサイズになりました。これから使いこむのが楽しみになってきます。創作意欲が湧いてきた方は、ぜひ萩焼本格体験をお試しくださいませ。
■お問い合わせ ※事前予約制
TEL:0837-25-3300(営業時間9:00~18:00)
■会場
8階ギャラリー月の風 (19:30~22:00)
※現在ギャラリーでは、「馬場良治-日本画展-」も開催中です。