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【3月の天体ドーム】西の空に浮かぶ3つの赤い星の正体は?月や星団との組み合わせが見ものです。

オリオン座のベテルギウスやおうし座のアルデバラン、お隣の惑星・火星など赤い星々に注目です。

こんばんは。大谷山荘・天体ドームです。2021年3月にご覧いただける、長門湯本温泉の星空情報をご案内いたします。

3月の上旬は火星とプレアデス星団が最接近、中旬には細い月と火星が最接近します。

春の陽気が漂い、夜がふける時間がだんだんと遅くなってまいりました。天体観測をするには体に優しい季節ではありますが、星が見え始める時間が待ち遠しくなる頃です。今月は、西の空に輝く惑星・火星を取り巻く天体に注目します。夜空には赤い星が主に3つみえてきます。一つはオリオン座のベテルギウス。約10万年後に超新星爆発が起こると話題になった星です。もう一つはおうし座のアルデバラン。地球からは67光年程の距離にある冬を代表する1等星です。黄道のすぐそばに位置する為、5月下旬~6月下旬は太陽のそばを通り全く見えなくなります。そして火星です。今月の火星の周辺では、様々な天体現象を観測できます。
3月4日には、夕方~深夜の西南西から西にかけて、火星のそばに見えていたプレアデス星団(すばる)が、最接近を迎えます。双眼鏡で観測すれば同一視野に入るほどです。3月10日頃まで、この赤い火星と青白いプレアデス星団の美しい対比をご覧いただけます。また、3月19日19時頃には、月と火星が接近予定です。この頃の月は下側に寝ているような三日月をしており、火星と、同じく赤く輝くアルデバランの間に挟まれています。2つの星を両目、月を口と見立てると、夜空に笑顔が浮かんでくるような組み合わせになります。翌日の20日は大接近となりますが、月の位置が高くなりますので、絶妙なバランスになる3月19日も合わせてお見逃しなく。今月の月は29日に満月(ワームムーン)を迎えます。

3月の星にまつわる話

ベテルギウスとアルデバラン、火星が赤い理由は違う?

地球から見ると全て赤っぽくみえるものの、色みに違いを感じる理由はなんでしょうか。まず、火星は惑星であり、太陽からの光を受けて輝いて見える星です。火星の地表には酸化鉄が存在する為、さびたような赤い星に見えています。アルデバランは、太陽のように自ら輝く星です。核融合反応が進み、年老いた赤色巨星になっているため、表面温度が低く(摂氏3636℃)、オレンジのような赤色に見えます。ベテルギウスも同様に星の終わりにあり、表面温度が低い為赤く見えています。質量はアルデバランよりも大きく、太陽の16.5~19倍ある為、分類は赤色超巨星となります。

アルデバランの名前の由来

アルデバランはアラビア語「アッ・ダバラーン」で「後に続くもの」という意味があり、プレアデス星団の後に続いて登ることからついたと言われています。星の名前にアラビア語に由来するものが多いのは、中世のイスラム圏で天文学が広く研究され、つくられた文献がヨーロッパに伝えられたという経緯があるからです。ヨーロッパではそれがさらにラテン語訳をされ、その中から定着した星の呼び方もあるようです。星の名前についての歴史的背景は、アストロアーツの公式ブログで詳しく紹介されています。ちなみに、アルデバランの日本独自の呼び方として「後星」「統星(すばる)の後星」「赤星」などがあります。連想するものはやはり一緒のようですね。

3月の星空情報

星空観測スケジュール(予定)

  • 3月上旬 M44(プレセペ星団)、M42(オリオン大星雲)、シリウス、ふたご座カストル・ポルックス
  • 3月下旬 月・火星・シリウス・ベテルギウス・レグルス

3月の星空トピックス

3月6日・・・下弦の月
3月13日・・・新月
3月17日・・・彼岸の入り
3月19日・・・月と火星が接近
3月20日・・・春分、月と火星が大接近
3月21日・・・上弦の月
3月29日・・・満月(ワームムーン)

長門の日の入り時刻は18:10頃でございます。
山口県の日の入り時刻は、国立天文台の公式サイトでご確認いただけます。
(参照:国立天文台の公式サイトへ

~天体ドームからのお願い~

天体ドームでは例年半纏をご用意してお客様をお迎えしていましたが、本年は新型コロナウイルス感染防止の観点からご用意することができません。ドーム内は屋根が開いているため気温が外と同じで大変寒くなります。天体ドームにお越しの際は各自で防寒対策をされますようお願いいたします。特に温泉に入られてからの来場は湯冷めをしやすくなります為お気をつけ下さいませ。

天体ドームご予約方法

詳細情報

開館時間…19:30~22:10 休館日…毎週火曜日 場所…大谷山荘屋上(8階ギャラリーに併設) 料金…ご宿泊のお客様無料 ご利用方法…事前予約制。ご宿泊日までは予約センター、当日はフロントまでお問い合わせ下さいませ。 ※現在人数制限をしてご案内致しております。

観測スケジュール

19:30、19:50 20:10、20:30、20:50 21:10、21:30、21:50

ご予約方法

上記よりご希望の時間をお知らせくださいませ(お電話またはご要望欄に記載くださいませ)。 ※満席の場合や天候によりご覧いただけない場合がございます。 ※天候により星空が観測いただけない場合は、過去の映像をご覧いただけます。

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■よくある質問 
「なぜ、屋上に天体ドームがあるのですか?」

「お客様にも長門の美しい星空を眺めていただきたい」長門/仙崎出身の金子みすゞ氏の詩を愛する
当館相談役の発案で屋上に設置いたしました。
実は、金子みすゞ交流会のご縁で出会った理学博士佐治晴夫先生のお言葉「目に見えるものが、
全てではありません。真昼のお星をご覧いただきましょう」と、玉川大学の天文台で見た真昼の星の美しさに
感動したことが始まりでございます。 
のどかな里山の自然に包まれた長門の夜空の記憶を、旅の思い出にお持ち帰りくださいませ。

 星空についての豆知識

光の速度
  • 光は1秒間に約30万Km(地球を7周半)進み、1年では9兆4600億Kmにもなります。
  • 太陽の光は地球に達するまでに8分19秒かかります
  • 月の光は地球に達するまでに1.3秒かかります
宇宙の距離単位
  • 宇宙はとても広大なため、星と星の距離単位として「光年」「天文単位」を用います。
  • 1光年=光が1年間に進む距離(9兆4600億Km)
  • 1天文単位=太陽と地球の距離(約1億5000万Km)
地球の時間
  • 1日は24時間ですが、地球の自転(1回転)の時間は23時間56分と約4分程ずれが生じます。
  • 「うるう年」を設けて調整しているのは、公転周期が365日に少し足りないからです。
  • 地球の自転(23時間56分)=400m/秒
  • 地球の公転(365日)=30km/秒
もっと詳しく星空のことを知りたい時は、 「国立天文台ほしぞら情報」 のサイトが大変参考になります。ぜひご覧になってくださいませ。