- 天体ドーム
- 2021/05/13
【5月の天体ドーム】3年ぶりの皆既月食。今年最大の満月が欠けていく様子を観測いたします。
月の色が赤くなり地球の影に飲み込まれていく皆既月食。次にスーパームーンで見られるのは12年後です。
こんばんは。大谷山荘・天体ドームです。2021年5月にご覧いただける、長門湯本温泉の星空情報をご案内いたします。
地球から最も近い天体である月。今月5月26日(水)は2021年で一番大きく見える満月が、地球の影に隠れていく皆既月食が起こります。月食自体は年に2~5回起きていますが、月のすべてが隠れる皆既月食が見られるのは2018年7月以来となります。さらに、地球と満月の距離が1年のうちで最も縮まるスーパームーンで見られるのは、今年を逃すと2033年になってしまいます。皆既月食というと、月が赤銅色に染まる姿が知られています。今回は、既に部分食が進んだ状態(月出帯食)で月が上り、大気の影響を受ける低空で皆既食となる為、地球からどのように見えるかに注目です。そして、ちょうどこの時の南東の低空には、さそり座が顔を出しています。赤銅色の月とさそり座で赤く光るアンタレスとの共演も楽しめそうです。
皆既月食はなぜ起こるのでしょうか。
月食とは、太陽、地球、月の順に一直線に並んだ時に、月が地球の影に隠れて暗くなったり、欠けたように見えたりする現象です。地球の影には、太陽に対して地球の真後ろに近い方にできる濃い影(本影)と、それを囲むぼんやりとした薄い影(半影)があります。皆既月食は本影の中にすっぽり隠れたときの現象のことをいいます。それでは、満月の度に月食が起こりそうですが、太陽が1年かけて1周する黄道と、月が地球を1周する白道は約5.1度の傾きがある為、黄道と白道が重なる時の満月だけ月食が起こるのです。それ以外の時は、この傾きのため満月はたいてい地球の影の上下にずれるので、美しい満月をひと晩中見ることができます。月食は影に遮られる度合いで3種類に分かれます。
[月食の種類]
1.半影食…月の一部や全てが地球の半影にのみ入った状態(肉眼では欠けているかはっきりとは分からない)
2.部分食…月の一部のみが地球の本影に入った状態
3.皆既食…月のすべてが地球の本影に入った状態
皆既月食が起こる時には2と3を両方観測できます。(見え方の順番は、白い満月→部分食→皆既食→部分食→白い満月)
本影と半影は簡単に作り出すことができます。まず、地面や机などから僅かに浮かせた状態で手をかざします。できた影を見ると濃い影と、濃い影を囲むように薄い影ができているかと思います。濃い影が本影、薄い影が半影です。このように見てみると、宇宙で起こっていることもより身近に感じやすいのではないでしょうか。また、今回は本影の端の方を通る為、皆既食の時間が約15分と大変短くなっています。チャンスを逃さないようしっかりとご覧くださいませ。
[5月26日・皆既月食タイムスケジュール]
18:45頃/部分食の始まり(山口県の月の出は19:10の為始まりは見えない)
20:11頃/皆既食の始まり
20:18頃/皆既食
20:26頃/皆既食の終わり
21:52頃/部分食の終わり
皆既食が始まると月の色が次第に赤い、「赤銅色」になり、皆既食が終わると色は白く戻ります。
皆既月食についてはAstroArtsのサイトが非常に参考になります。
5月の星にまつわる話
皆既日食はどんな現象?~地球から見た月と太陽の関係。
皆既月食と似た言葉で「皆既日食」があります。日食とは、太陽、月、地球の順に一直線に並んだ時に、太陽が月の影に隠れて暗くなったり、欠けたように見えたりする現象です。不思議なことに、太陽と月の見かけの大きさはほぼ一緒(太陽は月の400倍の大きさ・地球から太陽までの距離は月までの距離の約400倍)なのですが、月の公転軌道は楕円形なので、地球と月の距離によって見え方に微妙な違いが生じます。例えば、地球と月の距離が近いとき、その影は大きくなる為、太陽が月によって完全に遮られ、「皆既日食」が起こります。反対に、地球からの距離が遠い位置に月があると影が小さくなり太陽が全て隠れることがありません。その場合は、太陽の光がリング状に見える「金冠日食」となります。こうして見ると、地球から観測される天体現象の一つ一つに奇跡的な組み合わせが隠されていることに気付かされるのではないでしょうか。ちなみに、地球で皆既月食が起こっている時、月では地球による皆既日食が起こっています。
皆既月食の満月はなぜ赤っぽく見える?
月が地球の影に隠れるなら姿が見えなくなってしまいそうですが、皆既月食の間の月は赤っぽい状態で見えています。これは、地球の大気を通った太陽の光が屈折し、波長の長い赤い光が月まで届くからです。この色味も大気の状況によって明るくなったり濃くなったりと変化します。さらに、今回の皆既月食では月の高度がかなり低くなる予定です。通常の場合でも、月に反射した光が地球に届くとき、低空ほど大気の水蒸気などの影響を受けやすく赤く見えることがあるので、皆既月食中の月がどのように見えるのか気になるところです。
5月の星空情報
- 5月12日(水)~5月14日(金)北斗七星(ミザール・アルコル)、コル・カロリ、アルクトゥールス、スピカ、デネボラ
- 5月15日(土)~5月31日(月)月、北斗七星(ミザール・アルコル)、コル・カロリ、アルクトゥールス、スピカ、デネボラ
5月の星空トピックス
5月 4日(火) 月と土星が最接近(未明~日の出1時間前くらいに南東の空)
下弦の月
5月 5日(水) 月と木星が最接近(未明~日の出1時間前くらいに南東の空)
立夏
5月 6日(木) みずがめ座η流星群が極大(午前11時頃)
5月12日(水)新月
5月20日(木)上弦の月
5月21日(金)小満(二十四節気)
5月26日(水)満月(フラワームーン/スーパームーン)
皆既月食(20時18分頃)
長門の日の入り時刻は18:58頃でございます。
山口県の日の入り時刻は、国立天文台の公式サイトでご確認いただけます。
(参照:国立天文台の公式サイトへ)
日没が遅くなり、明るい時間帯が長くなったことを感じる頃です。夜もまだ少し肌寒い日がございますが、上着があればだいぶん星空の下に長居ができるようになりました。当館には、天体ドームの他、川床テラスやザ・テラス星遊と、各所に夜風を感じられるスポットをご用意しております。湯あがり後のひとときに、長門湯本の魅力を最後までお愉しみくださいませ。
天体ドームご予約方法
詳細情報
開館時間…19:30~22:10
休館日…毎週火曜日
場所…大谷山荘屋上(8階ギャラリーに併設)
料金…ご宿泊のお客様無料
ご利用方法…事前予約制。ご宿泊日までは予約センター、当日はフロントまでお問い合わせ下さいませ。
※現在人数制限をしてご案内致しております。
観測スケジュール
19:30、19:50
20:10、20:30、20:50
21:10、21:30、21:50
ご予約方法
上記よりご希望の時間をお知らせくださいませ(お電話またはご要望欄に記載くださいませ)。
※満席の場合や天候によりご覧いただけない場合がございます。
※天候により星空が観測いただけない場合は、過去の映像をご覧いただけます。
■よくある質問 「なぜ、屋上に天体ドームがあるのですか?」 「お客様にも長門の美しい星空を眺めていただきたい」長門/仙崎出身の金子みすゞ氏の詩を愛する 当館相談役の発案で屋上に設置いたしました。 実は、金子みすゞ交流会のご縁で出会った理学博士佐治晴夫先生のお言葉「目に見えるものが、 全てではありません。真昼のお星をご覧いただきましょう」と、玉川大学の天文台で見た真昼の星の美しさに 感動したことが始まりでございます。 のどかな里山の自然に包まれた長門の夜空の記憶を、旅の思い出にお持ち帰りくださいませ。
星空についての豆知識
光の速度
- 光は1秒間に約30万Km(地球を7周半)進み、1年では9兆4600億Kmにもなります。
- 太陽の光は地球に達するまでに8分19秒かかります
- 月の光は地球に達するまでに1.3秒かかります
宇宙の距離単位
- 宇宙はとても広大なため、星と星の距離単位として「光年」「天文単位」を用います。
- 1光年=光が1年間に進む距離(9兆4600億Km)
- 1天文単位=太陽と地球の距離(約1億5000万Km)
地球の時間
- 1日は24時間ですが、地球の自転(1回転)の時間は23時間56分と約4分程ずれが生じます。
- 「うるう年」を設けて調整しているのは、公転周期が365日に少し足りないからです。
- 地球の自転(23時間56分)=400m/秒
- 地球の公転(365日)=30km/秒
もっと詳しく星空のことを知りたい時は、 「国立天文台ほしぞら情報」 のサイトが大変参考になります。ぜひご覧になってくださいませ。