ほんのり暗い部分が見える細い月とひときわ輝く金星。月と金星が創り出す幻想的な光景を観測
こんにちは。大谷山荘・天体ドームです。2020年3月にご覧いただける、長門湯本温泉の星空情報をご案内いたします。(画像:大谷山荘・天体ドームの望遠鏡)
【目次】
1.3月の観測情ポイント:月と金星の共演を観測
2.天体に関するよくある質問
3.3月の星空状況
4.天体ドームのご予約方法
3月の観測ポイント:月と金星の共演を観測
3月下旬の西の空にひときわ際立つ光りを放つ星が見受けられます。それが金星です。金星はマイナス4.4等もの輝きを持ち、3月25日には太陽から最も離れて見える「東方最大離角」つまり、夕方の西の空で地球の内側にある金星が観望の好機を迎えます。3月28日になると、金星の左下あたりに上弦前の月が輝きはじめます。その月は、地球で反射した太陽光に照らされ、うっすらと月の暗い部分が見える「地球照」を伴い、幻想的な光景を演出いたします。肉眼でも見ることができますが、望遠鏡でご覧いただくと、より一層美しさを感じることができます。日常では感じることのできない雄大な世界に、ぜひ思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
2月の金星の観測情報を見る
金星とはどんな惑星?
ご存知のとおり金星は太陽系の惑星で、地球よりひとつ内側を公転しております。金星は大きさも質量も地球とよく似た惑星と言われておりますが、火星のように人の存在を示唆する表現を見かけたことがございません。実は、金星は表面温度が約470℃もある灼熱の惑星だからです。金星は二酸化炭素を主成分とする厚い大気層を持っているため、地表の大気圧がなんと90気圧。しかも、二酸化炭素の温室効果で高温高圧の惑星なのです。さらに、この惑星は、二酸化硫黄の雲が硫酸の雨を降らせ、上空には時速400kmもの暴風が吹いているという、過酷な環境が広がっているのです。余談ではございますが、金星と地球との違いをもうひとつあげると、自転周期が243日と惑星の中で最長で、自転の方向が公転と逆方向に回っております。これは、惑星の中でも金星と天王星のみの希有な現象です。現在日本では、地球をより深く理解するため「あかつき」による金星を探査しております。46億年前、金星と地球はほぼ同時期に誕生したこの2つの惑星。しかし、2つの惑星には大きな違いがあります。金星の環境の成り立ちを探査することで、私たち人類が生息する地球の成り立ちの理由がわかるはずです。
参照文献:金星探索機「あかつき」公式サイト
天体に関するよくある質問~お客様の素朴な疑問にお応えします
どうして地球は回り続けていられるの?
ご存知のとおり、地球は北極と南極を結ぶ軸の回りを一日一回、自転しております。しかし、地球はなぜ自転し続けることができるのでしょうか?だんだん、回転の速度は遅くならないでしょうか?正解は、「自転の速さは、ほとんど変化しない」ということです。通常、私達は回っているものを見ると、やがて勢いが弱まり止まってしまう現象をよく見かけます。例えば、「コマ」の場合、コマを回すと最初は勢いよく回っておりますが、やがて回転速度が弱まり、最終的には止まってしまします。これは、回転する速度を妨げる力=摩擦力がコマの回転を止める方向に働いたからです。地球もコマと同じように地軸を中心に一定方向に回っております。この際、地球はコマのように接点がなく、摩擦が働く部分がございません。そのため、同じ速度で回り続けることができるのです。これは、「慣性の法則」でも実証されており「外的な力が加わらない限り、物体は静止あるいは等速直線運動を続ける」ことができるのです。実際に、まったく外的な力が働いていないのかというと、そうではありません。太陽や月、他の惑星からの力は働いておりますが、自転の働きを止める方向には働いていないのです。よって地球は今もかわらず回り続けていられるのです。
参照:国立天文台公式サイト「よくある質問」ページ:惑星や人工衛星に関する質問
なぜ、春分の日はその年によって違うのでしょうか?
「国民の祝日に関する法律」では、春分の日は「春分の日」を採用すると定められております。その「春分の日」とは一体何を示しているのでしょうか?実は「春分の日」は天文学上の呼び名で、太陽が星々の間を移動する通り道「黄道」と、地球の赤道を天まで延長した「天の赤道」のそれぞれが傾斜した交点のうちの一つ「春分点」を含む日のことを示します(交点のうちのもうひとつが秋分点です)。つまり、太陽が春分点を通過する時点を含む日を春分日と言うのです。地球と太陽の関係は、ご存知のように、地球が太陽の回りを公転しております。その公転日数は平均値で約365.24219日です。365日と約6時間かけて太陽の回りをまわり、元の位置に戻ります。したがって一年という日数で換算すると春分の時刻はすこしずつ早まり、さらに閏年の場合は、6時間遅れると同時に、1日早い日付となるのです。秋分の日も同様でその年により異なってまいります。
参照:国立天文台の公式サイト「よくある質問」ページ:歴に関する質問より
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3月の星空情報
星空観測スケジュール(予定)
- 3月1日(日)~11日(水)
月、かに座のプレセペ星団、すばる、シリウス、ベテルギウス
- 3月12日(木)~28日(土)
かに座のプレセペス星団、シリウス、ベテルギウス
- 3月29日(日)~31日(火)
月、かに座のプレセペス星団
3月の星空トピック
- 3月3日(火)…上弦の月
- 3月5日(木)…啓蟄(けいちつ)
- 3月10日(火)…満月
- 3月16日(月)…下弦の月
- 3月20日(金)…春分の日
- 3月24日(火)…新月
長門の日の入り時刻は18:36頃でございます。夜は6℃~10℃前後と気温差がございます。当日は、厚手の上着をお持ちになりご参加くださいませ。みなさまのご参加を心よりお待ちいたしております。
山口県の日の入り時刻は、国立天文台の公式サイトでご確認いただけます。(参照:国立天文台の公式サイトへ)
天体ドームご予約方法
詳細情報
- 開館時間…19:30~22:10
- 休館日…毎週火曜日
- 場所…大谷山荘屋上(8階ギャラリーに併設)
- 料金…ご宿泊のお客様無料(先着予約制)
- ご利用方法…先着予約制(1回につき12席)
観測スケジュール
- 19:30、19:50
- 20:10、20:30、20:50
- 21:10、21:30、21:50
ご予約方法
上記よりご希望の時間をお知らせくださいませ(お電話またはご要望欄に記載くださいませ)。
※満席の場合や天候によりご覧いただけない場合がございます。
※天候により星空が観測いただけない場合は、過去の映像をご覧いただけます。
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■よくある質問
「なぜ、屋上に天体ドームがあるのですか?」
「お客様にも長門の美しい星空を眺めていただきたい」長門/仙崎出身の金子みすゞ氏の詩を愛する
当館会長の発案で屋上に設置いたしました。
実は、金子みすゞ交流会のご縁で出会った理学博士佐治晴夫先生のお言葉「目に見えるものが、
全てではありません。真昼のお星をご覧いただきましょう」と、玉川大学の天文台で見た真昼の星の美しさに
感動したことが始まりでございます。
のどかな里山の自然に包まれた長門の夜空の記憶を、旅の思い出にお持ち帰りくださいませ。
星空についての豆知識
光の速度
- 光は1秒間に約30万Km(地球を7周半)進み、1年では9兆4600億Kmにもなります。
- 太陽の光は地球に達するまでに8分19秒かかります
- 月の光は地球に達するまでに1.3秒かかります
宇宙の距離単位
- 宇宙はとても広大なため、星と星の距離単位として「光年」「天文単位」を用います。
- 1光年=光が1年間に進む距離(9兆4600億Km)
- 1天文単位=太陽と地球の距離(約1億5000万Km)
地球の時間
- 1日は24時間ですが、地球の自転(1回転)の時間は23時間56分と約4分程ずれが生じます。
- 「うるう年」を設けて調整しているのは、公転周期が365日に少し足りないからです。
- 地球の自転(23時間56分)=400m/秒
- 地球の公転(365日)=30km/秒
もっと詳しく星空のことを知りたい時は、 「国立天文台ほしぞら情報」 のサイトが大変参考になります。ぜひご覧になってくださいませ。