季節会席のお造りや追加料理で登場する｢本日の鮮魚｣が鮮度抜群な理由をご紹介いたします。

大谷山荘のお造りは鮮度抜群。萩・長門の漁港から直接買い付けされています。

日本海から車で約15分の距離にある当館は、大型旅館では珍しく漁港で直接買付けができる仲買権を持っており、担当者が漁港に通って競り人から魚介を仕入れています。主に2箇所から買い付けており、一つは当館のある長門市の漁港｢仙崎地方卸売市場｣、もう一つはお隣の萩市の漁港｢萩地方卸売市場｣で、2022年秋、日本テレビで放送中のドラマ｢ファーストペンギン!｣の舞台となっている市場です。作中では魚の美味しさに感動する主人公の様子が描かれていましたが、北浦の魚介はアジの他にも萩甘鯛や仙崎イカなど、山口自慢の幸が揃いますので、当館でも新鮮なままにお召し上がりいただきたく努めております。このたびは、会席料理のお造り｢本日の鮮魚｣や追加料理の｢お造り盛合せ｣でご提供しているお造りが、鮮度抜群な理由についてをご解説いたします。

〈目次〉
―鮮度抜群な理由①萩の名産を直接市場で競り落とし
―鮮度抜群な理由②活魚で買い付け、当館の生簀で管理
―鮮度抜群な理由③お造りはご夕食開始間際に料理人が仕上げ
―鮮度抜群な理由④当日の漁しだいだからこそ味わえる天然の魚

萩の漁船が集う｢萩地方卸売市場｣で、萩の名産を競り落とし。

午前1:30。あたりが暗く闇を落とす中、萩地方卸売市場では煌々と明かりが灯り、一番競りに向けての準備が行われます。市場によって仙崎イカや萩甘鯛など扱う魚介は様々ですが、担当者がご予約のお客様情報、魚の獲れ具合を鑑みながら、競り落とす魚を決め、狙う魚の目星を付けます。今回は秋会席の献立にもあり、この地域の名産である｢萩甘鯛｣。同じ萩甘鯛でも、小ぶりなものから箱の幅いっぱいになるほどの大きさのものまで様々。一般的に大きい方が価値が高いとされ、より脂がのることや、切り分けた時の見栄えが良くなることから、当館では大ぶりなものを競り落とします。競り人の独特な掛け声に応じ瞬時に競り落としていく仲買人と肩を並べ、狙いの品を落札。大谷山荘の札が載ります。

船から魚があがり、競りに向けての準備が始まる

大量の魚が次々に競り落とされていく

狙った大きさの｢萩甘鯛｣を落札

新鮮そのもの｢活魚｣の買い付け。提供直前まで当館独自の生簀(いけす)で管理。

競りに出される時点で生きた状態で泳いでいる魚を｢活魚｣と呼びます。活きのいい状態で船で運ばれ、そのまま生簀に入れられた魚を囲むように仲買人が立ち、競りが始まります。この時期｢本日の鮮魚｣で天然の白身として提供されることの多い｢クエ｣は、この活魚の状態で仕入れています。元々希少性が高い天然の｢クエ｣を、漁港から活魚で仕入れることができるのは、漁港が近い当地ならではの良さでございます。また、他にも｢穴子｣や｢キジハタ｣なども活魚で仕入れております。この日は活きのいい｢真鯛｣を競り落としました。一本釣りなどで獲られたものの方が良い状態でご提供できる為、担当者は積極的にこの活魚の競りに臨んでいます。

ずらりと並んだ活魚も瞬く間に競りにかけられ、わずか5分で終了

買い付けた魚はトラックに載せ、大谷山荘へ走る。

仕入れた活魚は、提供の直前まで当館の生簀で管理しています。自然界に近い環境にすることで鮮度を保ち、海が荒れて時化(しけ)た日でも、地元で獲れた魚介をお召し上がりいただけます。

大型のハタである｢クエ｣。高級魚として知られており、淡白で上質な旨味が特徴。

会席内のお造りはその日の担当者おすすめのネタが盛られる。

鮮魚を活かす料理人の技。お造りはご夕食開始間際に仕上げています。

漁港から運ばれてきた新鮮な魚を、より良い状態で提供できるよう努めるのが料理人の仕事です。鮮度が命のお造りは、切り分けが召し上がる瞬間に近いほど、美味しさが保たれると言われており、専門の料理人がその日の魚介を、夕食提供の直前に｢お造り｣にしていきます。さらに、露天風呂付客室専用の会席｢特別会席｣では、それぞれの料理をお召し上がりのタイミングに合わせて完成させており、接客係がお席に運ぶ直前に料理人が包丁を入れております。
また、魚の種類によって活魚にならないものもあり、甘鯛など深海で生息する魚は、水圧によりあがった瞬間に活かすことができなくなる為、船上で締めることで鮮度が保たれています。加えて、獲れたてよりも熟成させた方が身の中で旨味成分が増すのだとか。魚によって異なる｢最も美味しい状態｣を作り出し、その食材を引き立たせる調理法で料理人が一品一品を仕上げています。

調理の風景。料理人の技｢飾り包丁｣でも食感や味わいが変化します。

秋の特選会席｢萩甘鯛の西京焼き｣

北浦の幸を堪能いただけるプラン

海からあがる天然の魚。何が穫れるかは当日の漁しだい。

漁港に並ぶ魚箱の多くを占めていたのは、萩市の名産である白バイ貝や、瀬付きあじ。その他にも偶然獲れた珍しい魚や、海老などの甲殻類も競りに出されます。通常の季節会席の献立には登場しない種類の魚介ですが、その時が旬の味わいばかり。追加のお料理｢お造りの盛合せ｣では、そんな地元の魚をご賞味いただきたくご用意しております。｢これは姿造りになりそう｣｢少量しか仕入れられないが是非味わっていただきたい｣など、担当者がその日の魚を見ながら決めていますので、ぜひお愉しみくださいませ。

追加のお料理一覧を見る

港に集まる地元の魚介を、新鮮なままに味わっていただきたい、当館の想いが料理を通じて届いておりましたら幸いでございます。市場への入場は関係者に制限されておりますが、漁港のそばにある萩の新鮮な魚介を扱う道の駅｢萩しーまーと｣は、一般の方が気軽に訪れることができます。また、長門市の漁港｢仙崎地方卸売市場｣の南側にも道の駅｢センザキッチン｣があり、いずれも地元の魚介やお土産の販売、飲食店などがございますので、観光の際はお立ち寄りくださいませ。

■山口県漁業協同組合／萩地方卸売市場
住所：〒758-0011 山口県萩市大字椿東4160-61

■道の駅｢萩しーまーと｣
住所：〒758-0011 山口県萩市椿東北前小畑4160−61　(当館から車で約40分)
TEL：0838-24-4937
公式ページ：http://seamart.axis.or.jp/

■山口県漁業協同組合／仙崎地方卸売市場
住所：〒759-4106 長門市仙崎4295-8

■道の駅｢センザキッチン｣
住所：〒759-4106 山口県長門市仙崎4297-1　(当館から車で約15分)
TEL：0837-27-0300
公式ページ:https://nanavi.jp/senzakitchen/