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【7月の天体ドーム】夏は惑星がおもしろい!太陽系で大きさトップ2の木星と土星を一度に観測しませんか

7月10日は土星が地球に大接近。美しい土星の環を天体ドームの望遠鏡で観測しましょう

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木星に続き、7月は土星の観測好機。太陽と正反対に並ぶ瞬間「衝」を迎えます

こんにちは。大谷山荘・天体ドームです。2019年7月にご覧いただける、長門湯本温泉の星空情報をご案内いたします。 7月は、木星に続き土星が観測好機です。7月10日(水)には、地球からみて土星が太陽と一直線にならぶ瞬間「衝」を迎え、地球に近づきます。7月16日(火)には、月と土星が大接近いたしますので、満月に近い月と土星は見ごたえのある夜空になりそうです。また、期間中、特にご覧いただきたいのは土星の美しい環。望遠鏡から望むことができますので、ぜひこの機会に天体ドームに足を運んでくださいませ。また、近くに望遠鏡がないという場合でも、街明かりのない場所では、肉眼でも観測いただけます。南の空のやや低いところに見られるクリーム色の明るい星が土星、それよりも明るく輝く星が木星です。状況がよければ、土星と木星の間に流れる天の川も観測できるかもしれませんので、夕涼みがてら夜空を見上げて、夏の空をおもしろく彩る星たちを見つけてみてはいかがでしょうか?(画像:大谷山荘・天体ドームの望遠鏡より過去に撮影した土星の様子)

「衝」とは?

地球からみた時、太陽系の惑星が、太陽と正反対の方向に一直線にならぶ瞬間のことを示します。太陽のまわりを回っているそれぞれの惑星の位置関係は、様々ですが、「衝」の位置関係になると、地球と一直線となるためその距離が一番近い状態になります。7月10日(水)、土星がいて座で「衝」(太陽、地球、土星が一直線に並ぶ)となりますので、それ以降、早い時間帯からご覧いただけるようになります。

土星の出現と日没時刻

  • 7月01日(月)…日没19:32頃、土星出現19:56頃
  • 7月10日(水)…日没19:31頃、土星出現19:18頃
  • 7月20日(土)…日没19:27頃、土星出現18:36頃
  • 7月30日(火)…日没19:20頃、土星出現17:54頃

地球と大きさ比較!木星と土星の大きさはどのくらい?

jupiter-otanisanso ご存知のとおり、木星と土星は、太陽系の惑星の中で大きさトップ2。木星の直径は地球の約11倍、土星の直径は地球の約9倍です。地球をゴルフボールに例えると、木星はバランスボール、土星はビーチボールのイメージです。ちなみに、地球の衛星・月は地球の約0.27倍ですので、パチンコ玉くらいの大きさです。少しだけ大きさを実感できましたでしょうか?(画像:大谷山荘の天体ドームの望遠鏡より過去に撮影した木星の様子)

美しい土星の環。その正体とは?

saturn-otanisanso2 土星といえば、あの大きな美しい環が特徴です。では、その土星の環は一体、何でできているのでしょうか?実は、そのほとんどが無数の氷の粒子で構成されております。その大きさは、塵のような小さな粒子から数メートルを超える大きな氷の塊まで、実に様々です。無数の氷の粒子が土星の環として滞留できているのは、土星から受ける重力と環が回転することにより生まれる遠心力のバランスです。しかし、氷の粒子が太陽から受ける紫外線などの影響により帯電し、バランスを崩すことで、氷が雨となり土星に降り注いでいることが発見されました。この発見は、NASAの打ち上げた無人惑星探査機ボイジャー1号・2号の観測データが元になっており、新しいNASAの研究によると、その雨の量は「オリンピック用のプールを30分でいっぱいにするほどの量」とのこと。一億年以内に土星の環が消滅するかもしれないと発表されております。(画像:大谷山荘・天体ドームの望遠鏡より過去に撮影した土星の様子)
<参考資料> Subscribe to NASA’s Newsletter NASA Research Reveals Saturn is Losing Its Rings at “Worst-Case-Scenario”Rate __Dec. 18, 2018 NASA’s Cassini Data Show Saturn’s Rings Relatively New_Jan. 18, 2019
また、土星の詳しい情報は「宇宙情報センター」の公式サイトがおすすめでございます。わかりやすい情報が記載されております。よろしけれは、ぜひご覧になってくださいませ。
(参照:宇宙情報センターの公式サイトへ)

7月の星にまつわる話

天の川と夏の大三角形

七夕の季節になると、ふと、天の川を見つけてみたいと思いませんか?実は、天の川は年間を通じてみることができるのですが、七夕の季節に重なる7~9月頃が観測しやすい時期となります。天の川を見つけるコツは、まずは夏の大三角形を象る3つの1等星「ベガ、デネブ、アルタイル」を見つけることです。この3つの星は南東の空高くに輝いており、比較的見つけやすい明るい星たちです。上方がベガ(おり姫/こと座)、下方がアルタイル(彦星/わし座)、その間にデネブ(はくちょう座)が位置しております(夏の大三角形)。ロマンチックな七夕のお話は、ベガとアルタイルの間に流れる天の川を、デネブが橋渡しをする。そんな星の位置関係から、生まれたのかもしれません。

中国はもとより、ギリシャやフィンランドにも!世界の七夕伝説

天の川を舞台に七夕のお話として知られているのが「離ればなれになったおり姫様と彦星様が、一年に一度、天の川を渡って会うことができる」というストーリー。奈良時代に中国から伝わった物語を日本風にアレンジされたお話となっております。実は、この七夕伝説、日本や中国だけでなく、ギリシャやフィンランドにもございます。ここでは星にまつわるお話として、少しだけご紹介させていただきます。

中国の七夕伝説

日本のお話とストーリーはほぼ同じです。「天女の衣を織るおり姫と働き者の牽牛(けんぎゅう)を天帝が結婚させました。ふたりは幸せに暮らしておりましたが、幸せすぎて、おり姫は機織を、牽牛は牛の世話をしなくなりました。それを見かねた天帝は、ふたりを引き離し、一年に一度、7月7日だけ、会うことを許した」という内容です。他にも、中国には数多くの七夕伝説がございます。

ギリシャの七夕伝説

おり姫星がこと座のベガとして日本で知られていますが、ギリシャの七夕の伝説では、おり姫・彦星ではなく、こと座として語り継がれております。琴が上手なオルフェスという青年と踊りの上手な美しい少女エウリディケが川のほとりで出会い、すぐに恋に落ち結婚しました。ふたりは仲良く暮らしておりましたが、ある日、エウリディケが毒蛇にかまれて死んでしまいました。悲しみのあまりオルフェスは、どうしても妻を取り戻したく、地獄へと向かいます。地獄の帝王プルートに拒絶されますが、彼の美しい琴の音にとうとう心打たれ、「連れ帰る間、決して振り返ってはいけない」という約束の元、エウリディケを生き返らせました。しかし、オルフェスはその約束を守ることができず、途中で振り返ってしまい、エウリディケは再びあの世へ、そしてオルフェスも死んでしまいます。それを憐れんだゼウスがオルフェスの琴を星にしました。

フィンランドの七夕伝説

ズラミスとサラミという仲の良い夫婦がおりましたが、ふたりは死んだ後、別々の天にのぼります。しかし、その距離が離れすぎて、なかなか会うことができません。ふたりは会いたい思いで、星屑をあつめはじめました。そして、千年ものときをかけてふたりの間に星の橋・天の川を創り、ふたたび会うことができるようになりました。 いかがでしたでしょうか?夏は夜をアウトドアで楽しめるシーズンでもございます。ぜひ、夕涼みがてら、夜空を眺めてみてくださいませ。

 7月の星空情報

 星空観測予定

  • 7月1日(月)~5日(金) 木星、アンタレス、ベガ、デネブ、土星 ⇒7月3日(水)新月
  • 7月6日(土)~17日(水) 月、木星、土星、アンタレス、ベガ、デネブ、アルタイル ⇒7月9日(火)上弦、7月17日(水)満月
  • 7月18日(木)~31日(水) 木星、土星、アンタレス、ベガ、デネブ、アルタイル ⇒7月25日(木)下弦

星空トピック

  • 7月01日(月)…19:56頃、土星が出現
  • 7月10日(水)…土星がいて座で衝(衝…太陽・地球・土星が一直線に並ぶ様子)
  • 7月13日(土)…月と木星が大接近
  • 7月16日(火)…月と土星が大接近
  • 7月20日(土)…18:36頃、土星が出現
  • 7月30日(火)…17:54頃、土星が出現
夏至も過ぎ、長門の日の入り時刻は19:30頃でございます。夜空に輝く星をご覧になりたい場合は、観測時間20:10以降の回がおすすめでございます。星空を眺めて山間の静かな夜をお愉しみくださいませ。お待ちいたしております。
山口県の日の入り時刻は、国立天文台の公式サイトでご確認いただけます。(参照:国立天文台の公式サイトへ

天体ドームご予約方法

 詳細情報

  • 開館時間…19:30~22:10
  • 休館日…毎週火曜日
  • 場所…大谷山荘屋上(8階ギャラリーに併設)
  • 料金…ご宿泊のお客様無料(先着予約制)
  • ご利用方法…先着予約制(1回につき12席)

 観測スケジュール

  • 19:30、19:50
  • 20:10、20:30、20:50
  • 21:10、21:30、21:50

 ご予約方法

上記よりご希望の時間をお知らせくださいませ(お電話またはご要望欄に記載くださいませ)。 ※満席の場合や天候によりご覧いただけない場合がございます。 ※天候により星空が観測いただけない場合は、過去の映像をご覧いただけます。

天体ドームからの情報一覧へ

■よくある質問 
「なぜ、屋上に天体ドームがあるのですか?」

「お客様にも長門の美しい星空を眺めていただきたい」長門/仙崎出身の金子みすゞ氏の詩を愛する
当館会長の発案で屋上に設置いたしました。
実は、金子みすゞ交流会のご縁で出会った理学博士佐治晴夫先生のお言葉「目に見えるものが、
全てではありません。真昼のお星をご覧いただきましょう」と、玉川大学の天文台で見た真昼の星の美しさに
感動したことが始まりでございます。 
のどかな里山の自然に包まれた長門の夜空の記憶を、旅の思い出にお持ち帰りくださいませ。

 星空についての豆知識

光の速度
  • 光は1秒間に約30万Km(地球を7周半)進み、1年では9兆4600億Kmにもなります。
  • 太陽の光は地球に達するまでに8分19秒かかります
  • 月の光は地球に達するまでに1.3秒かかります
宇宙の距離単位
  • 宇宙はとても広大なため、星と星の距離単位として「光年」「天文単位」を用います。
  • 1光年=光が1年間に進む距離(9兆4600億Km)
  • 1天文単位=太陽と地球の距離(約1億5000万Km)
地球の時間
  • 1日は24時間ですが、地球の自転(1回転)の時間は23時間56分と約4分程ずれが生じます。
  • 「うるう年」を設けて調整しているのは、公転周期が365日に少し足りないからです。
  • 地球の自転(23時間56分)=400m/秒
  • 地球の公転(365日)=30km/秒
もっと詳しく星空のことを知りたい時は、 「国立天文台ほしぞら情報」  のサイトが大変参考になります。ぜひご覧になってくださいませ。