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【山口観光】国宝本殿造営・寄進650年記念特別展「住吉神社・護り伝えられた文化財」のご案内(会期:2020年7月7日~26日)

大寧寺所蔵・長門湯本温泉を授けた「住吉大明神」の神像が里帰り・公開されます。

 

「住吉神社・護り伝えられた文化財」チラシをダウンロード

 

 下関市にある長門一の宮、住吉神社の本殿が、今年で造営・寄進650年を迎えます。この節目の年として、境内で通常入ることができない場所から、本殿や九間社流造りの檜皮葺き屋根を拝観できる企画が開かれます。合わせて、下関市立美術館では、住吉神社に関する文化財を紹介する特別展が催され、その主役として、大寧寺所蔵の「住吉大明神」の神像が展示されることになりました。安置されてからおそらく初(大寧寺・岩田住職談)といわれている神像の里帰り遷座を、是非ご覧にお越しくださいませ。

長門一の宮・住吉神社(下関市)とは?

住吉神社 本殿(国宝)

住吉神社の狛犬。今年は健康を願ってマスクをしています。

 

古くは『日本書紀』にさかのぼり、三韓征伐に向かう神功皇后が住吉三神から守護を受け、無事帰還した折に、荒魂を「穴門の山田邑」に祀れとの神託があり、祠を建てたのを起源としています。
その後、全国で戦いが相次ぐ14世紀の南北朝時代、第24代当主:大内弘世が当時の長門国(山口県西部)を治めていた厚東氏の打倒を住吉神社に祈り、成就の際には社殿を建て替えることを誓いました。戦いに見事勝利した弘世は、約束通り社殿造営に着手します。応安三年(1370年)に本殿が完成し、今年650年を迎えます。
住吉神社は全国に幾社もございますが、長門一の宮・住吉神社は、福岡県の住吉神社、大阪府の住吉大社と並び「日本三大住吉」に数えられます。
千鳥破風の屋根をつけた九間社流造り(きゅうけんしゃながれづくり)の本殿は「国宝」、本殿の前にある『住吉神社拝殿』は、国の重要文化財に指定。通常は公開されていないエリアも、この特別展の期間中は間近に見学することができ、歴史を体感する絶好の機会です。

住吉神社の御神木

 

長門一の宮・住吉神社のご祭神

第一殿: 住吉三神(表筒男命・中筒男命・底筒男命)
第二殿: 応神天皇
第三殿: 武内宿禰命
第四殿: 神功皇后
第五殿: 建御名方命

大寧寺と住吉神社との深いつながり

紅葉スポットとしても名が知られる秋の大寧寺

 

日本全国の温泉地には、場所ごとに、温泉発見縁起譚(開湯伝説)があります。県内の温泉地で例えれば、俵山温泉では白い猿が発見したり、湯田温泉では白い狐が発見したり。これらは一体どんな目的で企画されたものなのか。温泉発見縁起譚の制作の根底には、温泉を一権力者に個人所有させないよう、地域における社会的共通資本化するために物語化させた制作者陣の目的があります。言い換えるならば、温泉の諸権利をめぐり、場所の国つ神、つまり、名もなき豪族や地元の名士(物語上の鳥獣・高貴な人物・僧侶という化身化されたメタファー)との掛け合いをもとに、その時分の企画者のホスピタリティ(調整能力)によって構成され、存在表出させたものでありましょう。このような伝説は、日本全国の場所ごとの温泉地で保存されており、言わば、日本の物語資本と言えます。
長門湯本温泉にまつわる伝説(住吉神温泉発見物語)は、大寧寺により伝承されています。約600年前の応永34年(1427年)、長門國一宮(下関市)の住吉神社を住み家とする老人が大寧寺に現れ、当時の三世住職、定庵殊禅禅師の説法を聴きに通われたところから物語が始まります。最終的に、仏道を修めた老人は、定庵禅師に菩薩大戒と錦の袈裟を授けられ、その恩に温泉を湧出させ、その後大きな龍に姿を変え、雷鳴を轟かせながら空に登っていきます。この伝説を裏付けるかのように、今でも温泉の所有権は大寧寺にあり、住吉大明神が鎮座されたとされる「座禅石」も境内に残っています。住吉神社長門国一宮の鳴瀬宮司によると、「室町期、大内家が頂点に立ち、仏道の大寧寺、神道の住吉神社という『トライアングルの関係性』が築かれ、大内家は中国エリアを戦略的に統治していったのではないか」ということでした。おそらく、このような関係性を踏まえ、長門湯本温泉にまつわる物語は、室町期当時の大寧寺の住職の企画力によって、巧妙に構成されたことが推察されます。

そして、このたび住吉神社へ里帰りを果たすという神像は、なんと袈裟姿。髭を蓄えた老人の風貌です。この神像は大寧寺の「開山堂」に、開祖の石屋真梁禅師をはじめとする禅師の像と並んで鎮座しております。江戸初期から中期の製作とされており、台座周辺は、神像が安置された後に柱などを取り付けたような構造になっていた為、搬出の際には、住吉神社の宮司や仏像を扱う専門家が集まり、少しづつ丁寧に作業を進められました。

住吉大明神の神像。木彫りで彩色も施されています。

画像は6月22日搬出の様子。

※左:大寧寺・岩田住職、右:住吉神社・鳴瀬宮司

 

神道の神様が、仏教の和尚様に習うという構造が、時を越えて、この現代の企画展を催すにあたり、再び住吉神社の宮司と大寧寺の和尚が手を取り合う契機となったことは、非常に感慨深い気持ちにさせてくれます。

※左:住吉神社・鳴瀬宮司、右:大寧寺・岩田住職

 

住吉神社 本殿(企画展中限定の拝観)

住吉神社 本殿 合の間「春」(企画展中限定の拝観)

住吉神社 本殿 合の間「秋」(企画展中限定の拝観)

住吉神社 本殿 合の間「冬」(企画展中限定の拝観)

里帰り遷座された住吉神像 下関市立美術館にて(企画展中限定の拝観)

・大寧寺公式サイト:https://www.taineiji.jp/

長門一宮 住吉神社 本殿(国宝)再建650年記念事業の詳細情報

  • 会場:長門一の宮 住吉神社
  • 会期:2020年7月1日(水)~9月20日(日)
  • 時間:9:00~16:00
  • 住所:〒751-0805 山口県下関市一の宮住吉1丁目11‐1
  • お問合せ先:下関市観光政策課 TEL:083-231-1350 (8:30~17:15/平日)

記念事業詳細:一般社団法人山口県観光連盟

国宝本殿造営・寄進650年記念特別展の詳細情報

  • 会場:下関市立美術館 1階市民ギャラリー
  • 会期:2020年7月7日(火)~7月26日(日)
  • 時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)※7月7日(火)のみ12:00開場
  • 住所:〒752-0986 山口県下関市長府黒門東町1-1
  • 入場料:無料