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【1月の天体ドーム】シリウス、リゲル、ベテルギウスなど、冬の夜空を繋ぐ一等星に注目です。

こんばんは。大谷山荘・天体ドームです。2021年1月にご覧いただける、長門湯本温泉の星空情報をご案内いたします。(画像:カメラで撮影したオリオン座と周辺の星々)

オリオン座を囲むように結んだ六角形「冬のダイヤモンド」を探しませんか?

新しい年を迎えて早々、凍えるような寒さが続き、肩をすくめて歩く夜が多かったのではないかと存じます。雪雲に隠れる日にも、冬の星空は変わらず、観測好機を迎えています。昨年末からすでによくご覧いただけておりました、オリオン座を中心とする、輝きの強い星々が、今月もにぎやかに夜空を彩っています。なかでも、南東に広がる一等星の星々は、肉眼でも見つけやすく、線で結ぶと六角形に見え、「冬のダイヤモンド」と呼ばれています。望遠鏡で覗くと、その星の様子をしっかりと観測できます。

[冬のダイヤモンド]

  • おおいぬ座のシリウス・・・全天の一等星の中で最も明るい星(約-1.4等級)で、六角形の一番下方に青白く輝いています。
  • こいぬ座のプロキオン・・・クリーム色のような黄色をしており、天の川を挟んでオリオン座の対岸にあります。シリウスと近く、冬の大三角形の一部でもあります。
  • ふたご座のポルックス・・・ふたご座β星で、双子の兄弟の弟にあたる星です。
  • ぎょしゃ座のカペラ・・・黄白色で、太陽とほぼ同じ色の光を放っています。五角形のような形をしているぎょしゃ座の中でも目立つ星です。
  • おうし座のアルデバラン・・・おうし座の目のあたりにあり、赤色をしています。向かいには「すばる」が見えています。
  • オリオン座のリゲル・・・リゲルは「巨人の足」という意味で、その名の通りオリオン座の足あたりにあります。青白い星で和名では「源氏星」とも呼ばれています。

さらに、冬のダイヤモンドを構成する星2つ(おおいぬ座のシリウスとこいぬ座のプロキオン)に、オリオン座のベテルギウスを加えた「冬の大三角形」も確認できます。大三角形は春、夏にもありますが、冬の大三角形は空気が澄んでいる上に、それぞれの星の特徴から赤、青、黄色とカラフルに見えます。赤く輝くベテルギウスは、ちょうど冬のダイヤモンドの真ん中あたりにある為、並びも美しく、きらきらと煌めく夜空を視界いっぱいにご覧いただけます。

[冬の大三角形]

  • おおいぬ座のシリウス
  • こいぬ座のプロキオン
  • オリオン座のベテルギウス

今月もオリオン大星雲や、すばる(プレアデス星団)をご覧いただけます。また、下旬からは、「かに星雲」も観望を迎えますので、月あかりの影響がない頃の観測がおすすめです。

1月の星にまつわる話

爆発した残骸の光が今も届く「かに星雲」

「かに星雲」(M1)というユニークな名前は、細かい糸状に見える可視光線が、かにの足のように思わせるために19世紀頃から呼ばれるようになったと言われています。かに星雲は、おうし座の角あたりにあり、恒星が超新星爆発した後の残骸です。中心部には「かにパルサー」と呼ばれる中性子星がありますが、全ての星の終わりがこのようになるわけではありません。質量によって運命が異なり、太陽の30倍以上の恒星になるとブラックホールになると考えられています。ちなみに、オリオン座のベルト部分にある三つ星の内、中央にある恒星(アルニラム)は太陽の質量の64.5倍である為ブラックホールになる可能性があります。

かに星雲の超新星爆発の光は、1054年(平安時代。日本では1052年、平等院鳳凰堂が建立された頃のイメージ)に届いたとされており、藤原定家の『明月記』にも記されています。当時は金星ほどの明るさに該当し、昼間でも肉眼で約23日程見えたようです。しかし実際には、かに星雲が地球から7200光年離れている為に、縄文時代に起きた大爆発がやっとその頃に地球で観測されたという計算になります。かに星雲の大きさは10光年程ですので、光の速さで移動しても10年要する距離です。現在も毎秒1100kmの速さで膨張を続けており、1光年広がるのに約273年もかかります。現在地球から様子を確認するには、肉眼では難しく、双眼鏡か望遠鏡が必要です。

星雲や星団の名前によくついてくるMってなに?

すばるのM45、オリオン大星雲のM42など、星の説明によくついてくる数字とM。これはフランスの天文観測家のシャルル・メシエ(1730-1817)が作成した「メシエカタログ」の通し番号と、「メシエカタログ」から出ているという意味を添える為メシエの頭文字Mから取ったものです。もともと彗星の専門家で、彗星探索をする上で紛らわしい天体をリスト化したものが定着しました。かに星雲はそのカタログの1番目に記されており、「M1」とも呼ばれています。比較的簡単に観測できる明るい天体が多い為、アマチュア天文家を中心に、多くの人々に親しまれています。

1月の星空情報

星空観測スケジュール(予定)

  • 1月1日(金)~31日(日) 月、ベテルギウス、シリウス、リゲル、オリオン大星雲
  • 1月下旬        ベテルギウス、シリウス、リゲル、オリオン大星雲、かに星雲

長門の日の入り時刻は17:15頃でございます。
山口県の日の入り時刻は、国立天文台の公式サイトでご確認いただけます。
(参照:国立天文台の公式サイトへ

~天体ドームからのお願い~

今年は年始から寒波が訪れ、長門湯本にも珍しく積雪がございました。寒い日々が続いており、上着を着ていても長時間の滞在にはさらに注意が必要でございます。天体ドームでは例年半纏をご用意してお客様をお迎えしていましたが、本年は新型コロナウイルス感染防止の観点からご用意することができません。ドーム内は屋根が開いているため気温が外と同じで大変寒くなります。天体ドームをご利用の際は、上着の着用や靴でお越し頂くなど、各自で防寒対策をして頂きますようお願いいたします。特に温泉に入られてからの来場は湯冷めをしやすくなります為お気をつけ下さいませ。

天体ドームご予約方法

詳細情報

開館時間…19:30~22:10
休館日…毎週火曜日
場所…大谷山荘屋上(8階ギャラリーに併設)
料金…ご宿泊のお客様無料
ご利用方法…事前予約制。ご宿泊日までは予約センター、当日はフロントまでお問い合わせ下さいませ。
 ※現在人数制限をしてご案内致しております。

観測スケジュール

19:30、19:50
20:10、20:30、20:50
21:10、21:30、21:50

ご予約方法

上記よりご希望の時間をお知らせくださいませ(お電話またはご要望欄に記載くださいませ)。
※満席の場合や天候によりご覧いただけない場合がございます。
※天候により星空が観測いただけない場合は、過去の映像をご覧いただけます。

天体ドームからの情報一覧へ

■よくある質問 
「なぜ、屋上に天体ドームがあるのですか?」

「お客様にも長門の美しい星空を眺めていただきたい」長門/仙崎出身の金子みすゞ氏の詩を愛する
当館相談役の発案で屋上に設置いたしました。
実は、金子みすゞ交流会のご縁で出会った理学博士佐治晴夫先生のお言葉「目に見えるものが、
全てではありません。真昼のお星をご覧いただきましょう」と、玉川大学の天文台で見た真昼の星の美しさに
感動したことが始まりでございます。 
のどかな里山の自然に包まれた長門の夜空の記憶を、旅の思い出にお持ち帰りくださいませ。

 星空についての豆知識

光の速度
  • 光は1秒間に約30万Km(地球を7周半)進み、1年では9兆4600億Kmにもなります。
  • 太陽の光は地球に達するまでに8分19秒かかります
  • 月の光は地球に達するまでに1.3秒かかります
宇宙の距離単位
  • 宇宙はとても広大なため、星と星の距離単位として「光年」「天文単位」を用います。
  • 1光年=光が1年間に進む距離(9兆4600億Km)
  • 1天文単位=太陽と地球の距離(約1億5000万Km)
地球の時間
  • 1日は24時間ですが、地球の自転(1回転)の時間は23時間56分と約4分程ずれが生じます。
  • 「うるう年」を設けて調整しているのは、公転周期が365日に少し足りないからです。
  • 地球の自転(23時間56分)=400m/秒
  • 地球の公転(365日)=30km/秒
もっと詳しく星空のことを知りたい時は、 「国立天文台ほしぞら情報」 のサイトが大変参考になります。ぜひご覧になってくださいませ。