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【山口観光】入浴を文化に。「長門湯本温泉 恩湯」が「湯道文化賞」を受賞いたしました。

2023年度「湯道文化賞」において、約600年の歴史を持つ立ち寄り湯「長門湯本温泉 恩湯」が最高賞を受賞しました。

入浴に向き合い、温泉を愉しむ。「長門湯本温泉 恩湯」が選ばれたポイントとは。

この度「長門湯本温泉恩湯」が、一般社団法人湯道文化振興会(代表理事:小山薫堂、本社:東京都)主催の、2023年度「湯道文化賞」において、最高賞である「湯道文化賞」を受賞いたしました。2022年より創設された「湯道文化賞」は今回が第2回目で、5つある部門からそれぞれ受賞者が選出されます。今年は恩湯を含む計6組8名が選ばれ、京都の臨済宗大本山大徳寺真珠庵にて表彰式が行われました。

「湯道文化賞」とは

「湯道」という「道」は、一般社団法人湯道文化振興会の代表理事を務める小山薫堂氏によって提唱されました。「入浴」というと、日本では普段の生活の中で日常的に行っている行為ですが、世界的な視野で見ると珍しく、また水道水を安全に飲める国が数少ないことを鑑みれば贅沢な行為とも言えます。「湯道」は、この日本の入浴文化の精神と様式を突き詰めていくことが一つの道となるという想いから名付けられ、「感謝の念を抱く」「慮る心を培う」「自己を磨く」という3つの精神を核にしています。

一般社団法人湯道文化振興会 代表理事:小山薫堂氏


「湯道文化賞」は、「湯道」の精神を元に、日本の入浴行為を「文化」へと昇華させることを目的として2022年に創設されました。入浴に関する文化的な取り組みに光を当てるもので、入浴を「文化」へ昇華するために特に輝かしい功績を遺した個人・団体へ贈られる「湯道文化賞」、長年入浴文化の発展・継続を支えてきた個人・団体へ贈られる「湯道特別賞」、日本の伝統工芸分野において入浴関連の道具や建物を制作するとともにそれらの国内外への魅力発信に寄与した個人・団体へ贈られる「湯道工芸賞」、これまでにない発想や取り組みで入浴に新たな価値を付加している個人・団体へ贈られる「湯道創造賞」、「湯道」の精神理念に深く共感しそれを体現する個人・団体へ贈られる「湯道貢献賞」の5つの部門があります。

「湯道文化賞」を受賞した3氏


「長門湯本温泉 恩湯」は、5つの部門の中で最高賞にあたる「湯道文化賞」を受賞いたしました。評価されたポイントは大きく3つあり、いずれも長門湯本温泉の歴史において重要とされ現代まで引き継がれていることです。

 

[評価されたポイント(恩湯HPより抜粋)]

①神様、仏様、そして地域のさまざまな立場の方々と文脈を共有し、協力によって、湯を守ってきた。
②「お寺から授かった湯」という考え方を大切にしている。
③「お湯に感謝する」という精神が湯道と近い、ありそうでなかった湯。

 

[講評(湯道文化振興会HPより抜粋)]
(審査員:柏井壽氏)

「恩湯」 この字が全てを表していると思っております。
私たちはつい源泉がどうか、温度は何度か、泉質はどうかということばかり気にしてしまいますが、本来、湯というものは神の恵みであり、地球から預かっているものだという認識をつい忘れがちです。
神様、仏様、そして我々人間が三位一体となって、この湯を大切に育てていく。
湯道が一番大事にしている湯はありがたいものだと、はっきり思い出させてくれた「恩湯」を大切に育てている皆さんのお力だと思い、文化賞を授与させていただきます。

 

神授の湯・長門湯本温泉 恩湯

長門湯本温泉は山口県最古と言われる温泉で、その歴史は古く、起源は約600年も前の室町時代までさかのぼります。「神授の湯」とも言われておりますが、それには温泉の発見にまつわる伝説(住吉神温泉発見物語)が深く関係しております。
伝説の舞台となるのが長門湯本にある大寧護国禅寺です。曹洞宗・大寧寺三世の定庵殊禅(じょうあんしゅぜん)禅師が境内を散策していた時のこと。石の上で座禅を組むひとりの老翁に出会いました。定庵殊禅禅師が老翁に名を尋ねると、老翁は歌で「松風の声のうちなる隠れ家は むかしも今も住吉の神」と答えます。住吉の神、つまり老翁の真の姿は長門國一宮(下関市)の住吉大明神だったのです。定庵殊禅禅師は老翁を大寧寺に招き、その後老翁は定庵殊禅禅師の説法に通うこととなります。応永34年(1427年)、老翁は仏道を修め、定庵殊禅禅師から仏道の奥義を印可する菩薩大戒と錦の袈裟を授かると、その恩義に報いるため温泉を湧出させ、大きな竜に姿を変えて、雷鳴を轟かせながら空に登っていったのです。
この伝説はいくつもの時代を経て人々に語り継がれています。伝説を裏付けるかのように、今でも温泉の所有権は大寧寺にあり、住吉大明神が鎮座されたとされる「座禅石」も境内に残っております。このように、長門湯本温泉は古くから神様・仏様と結びつき、歴史を紡いできた温泉なのです。

江戸時代には、藩主もたびたび湯治に訪れていたとされており、明治から昭和にかけて全国から多くの方が訪れていた長門湯本温泉ですが、近年は旅行スタイルの変化などで来訪者が減少。「恩湯」の施設の老朽化もあり、2017年に公営での営業が終了となりました。そこで地域の若手たちが「恩湯」を次世代に受け継ぐために「長門湯守」を結成。2020年3月にリニューアルオープンいたしました。

「恩湯」の泉質は、ph9.5~9.9の「アルカリ性単純温泉(ほんのり硫黄湯)」です。まるで化粧水のようなすべすべした肌触りのお湯が特徴で、源泉温度は39度。浴槽の温度は36~38度の「ぬる湯」です。体温に近い温度のため、ゆっくりと浸かることで体の芯から温まっていただけます。
※冬の期間のみ最小限の加温で調整。

「恩湯」は国内でも珍しく、岩盤から自然湧出する源泉を眺めながらご入浴いただける施設です。湧いている音も心地よく、目と耳で源泉をお愉しみいただけます。浴場の奥には先の伝説に登場した住吉大明神の神像が鎮座しており、この地で育まれた「温泉信仰」は、今もなお地域の人々によって大切にされています。また、浴槽の石底には「足元湧出泉」と呼ばれる、もうひとつの泉源があり、空気に触れることなく浴槽に注がれるという、究極的に鮮度の高い温泉をご堪能いただけるのも「恩湯」の魅力のひとつです。

源泉をよりお愉しみいただけますよう、「恩湯」では初めてご利用になるお客様へ「恩湯のたしなみ」冊子をお渡ししております。こちらには、ご入浴に際しての心得や恩湯の歴史などが記されており、ご入浴で体感いただきたいポイントがまとめられております。ぜひ、ご利用の前にご一読いただき、歴史ある温泉をじっくりとお愉しみくださいませ。

「恩湯のたしなみ」PDF

また、「恩湯」では御朱印紙のご用意もいたしております。こちらは「恩湯」だけの特別なもので、「神授の湯」の伝説に深く関わる大寧護国禅寺(長門湯本)と長門國一宮住吉神社(下関)をそれぞれ参拝し、御朱印を受けることで一つの御朱印紙が完成いたします。仏教である大寧寺と神道である住吉神社は異なる宗教ではありますが、「恩湯」を通じて、両者の繋がり、また仏と神に守られる湯を感じていただけます。ご興味のある方はぜひご利用くださいませ。

御朱印紙完成イメージ(右が住吉神社、左が大寧寺)


[恩湯の御朱印紙詳細]
・販売場所:長門湯本温泉 恩湯
・料金:1,000円/枚
※初穂料・お志は含まれています。

[長門湯本温泉 恩湯]
住所:〒759-4103 山口県長門市深川湯本2265番地
TEL: 0837-25-4100
営業時間:10時~22時
定休日:第3火曜(祝日の場合は変更あり)
料金:大人990円、子供(4~12歳)500円 ※3歳以下無料
公式サイト:長門湯本温泉 恩湯

2023年度「湯道文化賞」受賞者一覧

・湯道文化賞
長門湯本温泉 恩湯:長門湯守共同代表 大谷和弘氏、大寧寺方丈 岩田啓靖氏、長門國一宮 住吉神社宮司 鳴瀬道生氏
・湯道特別賞
栃尾又温泉:栃尾又温泉・自在館 星宗兵氏
中乃湯:中乃湯 仲村シゲ氏
・湯道工芸賞
おぼろタオル:おぼろタオル 森田壮氏
・湯道創造賞
銭湯建築家 今井健太郎氏
・湯道貢献賞
在京都フランス総領事館:同文化部長芸術部門主任 ジュリエット・シュヴァリエ氏

[小山薫堂氏プロフィール]
米アカデミー賞外国語映画賞を始めとする数々の賞で称賛された映画「おくりびと」の脚本家や、放送作家、ご当地キャラ「くまモン」の生みの親として活躍されています。お風呂愛好家で、日本を代表する文化である入浴を「湯道」として文化へ昇華し、2020年に「一般社団法人湯道文化振興会」を設立。2023年2月には、企画・脚本を手掛けた映画「湯道」が上映されました。

受賞を記念し、特別講演「湯は、心に恩を刻む」・展示会「湯道展」が開催されます。

湯道文化賞特別講演「湯は、心に恩を刻む」

この度の「湯道文化賞」受賞を記念し、「湯道」の理念や長門湯本温泉と「恩湯」の再生に向けた取組についてのシンポジウムが、福岡県にて開催されます。タイトルの「湯は、心に恩を刻む」は、小山薫堂氏が「湯道百選」という雑誌連載の中で、「恩湯」を表す言葉として表現したもの。入浴という行為の精神や様式について、深く触れることのできる機会でございますので、ご興味のある方はぜひご聴講くださいませ。

  • 開催日時:2024年1月15日(月)18:30〜20:00(18:00開場)
  • 会場:DAIMYO CONFERENCE LinkROOM 1
    福岡県福岡市中央区大名2丁目6-50 福岡大名ガーデンシティ・タワー3・4階
  • 入場料:1,000円(恩湯入浴券付き) ※事前予約制
  • プログラム:
    (1)基調講演:柏井壽氏 演題「旅と湯道」
    (2)パネルディスカッション
    登壇者
    柏井壽氏 (作家)
    小山薫堂氏 (湯道初代家元/湯道文化振興会代表理事)
    高橋俊宏氏 (DiscoverJapan統括編集長)
    大谷和弘氏 (長門湯守株式会社共同代表)
    木村隼斗氏 (長門湯本温泉まち株式会社 エリアマネージャー)

ご予約・詳細はこちら

湯道文化賞受賞記念「湯道展」

この度の「湯道文化賞」受賞を記念し、長門湯本温泉恩湯別棟にて「湯道展」が開催されます。会場では、湯道の理念や様々な湯道具、映画「湯道」で実際に使われていた小道具類などが幅広く展示されます。無料でご入場いただけますので、「恩湯」のご入浴と併せてお愉しみくださいませ。

  • 開催日時:2024年1月14日(日)〜2月16日(金)
  • 開場時間:
    1月14日(日)~1月25日(木):12:00~18:00
    1月26日(金)~2月16日(金):12:00~20:00
  • 会場:長門湯本温泉 「恩湯別棟」(旧恩湯食)
    山口県長門市深川湯本2270-5
  • 入場料:無料

詳細はこちら

大谷山荘でも長門湯本温泉のまちづくりに取り組んでおります。

大谷山荘でも、地域の皆さまとともに長門湯本温泉のまちづくりに取り組んでおります。館内でのくつろぎとやすらぎはもちろんのこと、館外でも当地でしか味わえないくつろぎとやすらぎをご体感いただきたく、季節に合わせて様々な催しを企画いたしております。
「恩湯」に関する企画では、一番風呂貸切プランと入浴券割引販売を行っております。お気軽に長門湯本温泉のお湯をお愉しみいただける内容となっておりますので、ぜひご滞在中にお出かけくださいませ。

長門湯本温泉 恩湯:一番風呂貸切プラン

神授のお湯の一番風呂を貸切でお愉しみいただるプランです。周りに気兼ねすることなく、ご家族やご友人と温泉を満喫いただけます。

・ご利用時間:午前8:40~午前9:40 ※2025年3月16日から午前7:50~午前8:50
・ご利用人数:1組につき最大6名様まで(お子様含む)。1日2組限定。
・ご利用料金:1組につき30,000円(税込)
※事前予約制。
当館ご宿泊のお客様は、当館にて貸切プランのご予約を承ります。ご希望の際はお電話またはオプションよりご予約くださいませ。
(申し込み状況によりお受けできない場合がございます。)
TEL:0837-25-3300(9:00~17:00)
※当館から恩湯までの送迎あり。
※ご利用の際は恩湯の利用規約をご確認くださいませ。

[お知らせ]
当プランは、ご利用日前日よりキャンセル料がかかります。
・ご利用日前日…ご利用料金の20%
・ご利用日当日…ご利用料金の100%
・無連絡キャンセル…ご利用料金の100%

長門湯本温泉 恩湯:入浴券割引販売

当館ご宿泊者限定で、「恩湯」の割引入浴券をご購入いただけます。お気軽に長門湯本温泉のお湯をお愉しみいただけます。

・料金:大人700円(通常990円)
・販売会場:大谷山荘フロント
※当館ご宿泊者限定
※おひとり様1枚まで

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