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【4月の天体ドーム】りょうけん座の連星コル・カロリが魅せる春のダイヤモンド

北斗七星から辿る、春のダイヤモンドを観測してみませんか?

新たな始まりの季節を迎え、穏やかな春を代表する星々の見頃となってまりました。春の大三角や大曲線はもちろんのこと、春のダイヤモンド(英語名:spring diamond)も観測好機を迎えます。春のダイヤモンドを見つける際には、おおぐま座の尻尾の先にあたる北斗七星のアルカイドから、うしかい座のアークトゥルスとおとめ座のスピカのオレンジと青白い星を辿り、春の大曲線を見つけます。さらにアルクトゥールスとスピカからしし座のデネボラへ、ほぼ正三角形になるように繋ぐと、春の大三角が見えてまいります。その際に間違えやすいのが、しし座の頭部分の特徴的な逆「?」に位置する1等星のレグルスでございます。春の1等星はアルクトゥールス、スピカ、レグルスの3つしかなく、春の大三角に間違えやすいためご注意くださいませ。春の大三角から最後に、北斗七星のアルカイドとしし座のデネボラの中間あたりに位置するりょうけん座のコル・カロリを繋げると、ひし形の春のダイヤモンドが完成いたします。
春のダイヤモンドの一角を担うりょうけん座に表される2頭の猟犬は、おおぐま座を追いかけながら昇り「熊を護るもの」の意味があるアルクトゥールスを保有するうしかい座が、熊を護るかのように猟犬の手綱を握りながら夜空へ昇ってまいります。りょうけん座のα星コル・カロリは、同星座内で最も明るい恒星であるものの地球から見た明るさは3等星程と、はくちょう座のアルビレオと同じ明るさで輝く恒星でございます。コル・カロリは北斗七星のミザールと同じ、2つの恒星がお互いの周りを一周する実視連星に分類されており、望遠鏡でも大きさの異なる2つの星が隣り合う姿を観測できるかもしれません。ミザールとコル・カロリを見比べながら2つの実視連星の違いをお愉しみくださいませ。

4月の天体にまつわる話

宇宙へ続く大きな窓

春の夜空は冬の夜空と比べると、大型の星座が多くゆったりとした印象がございます。地球が太陽を一周する公転運動により夜に星の見える方向が、季節によって銀河の内側や外側を向くようになるためでございます。銀河を横から見てみると、どら焼きのような円盤状の形をしており、春や秋の夜となる方向は厚さの薄い銀河の外側になります。春に向く方向はさらに恒星が少なく、天の川銀河系外にある天体を探しやすくなり、多くの銀河系外天体が発見されるなど宇宙の神秘を知る絶好の季節でございます。そのため、春の夜空はよく「宇宙の窓」と呼ばれております。

ネメアの森に住み着いた獰猛なライオン

黄道12星座や春の大三角に数えられるしし座は、かつてギリシャのペロポネソス半島にあるネメアの森に巣食っていた人喰いライオンでございました。村人が恐れるライオンを退治すべく、屈強なものたちが何人も森へ入っていきましたが、戻ってくるものはひとりとしていませんでした。ヘルクレスが己の試練の為に森へ立ち入ると、口周りの毛を真っ赤に染めたライオンがヘルクレスの前に現れます。ヘルクレスへは牙を剥くライオンへ矢を放つものの、硬い毛をもつライオンを射止めることはできません。一方のライオンは、自身に危害を加えようとするヘルクレスヘ飛びかかり、鋭い牙を突き立てますが、ヘルクレスは怯むことなくライオンの首を力いっぱい締め付けました。当然ライオンは逃れようと暴れ回りますが、ヘルクレスは更に強い力で首を締め付けます。そんな攻防が三日三晩続き、ついにライオンは力尽きてしまいます。それを見ていた女神ヘラは、自身が嫌っていたヘルクレス相手に勇猛に挑んだとしてライオンを空へ上げたと言われています。

4月の星空情報

星空観測予定

4月上旬…月、北斗七星(ミザール・アルコル)、コル・カロリ、かに座プレセぺ星団(M44)
4月中旬…月、北斗七星(ミザール・アルコル)、コル・カロリ、かに座プレセぺ星団(M44)
4月下旬…北斗七星(ミザール・アルコル)、コル・カロリ、かに座プレセぺ星団(M44)

星空トピックス

4/1:新月
4/5:清明
4/9:上弦の月
4/17:満月(ピンクムーン)
4/20:穀雨
4/23:下弦の月
  :4月こと座流星群が極大(条件:あまり良くない)

長門の日の入り時刻は18:45頃でございます。
山口県の日の入り時刻は、国立天文台の公式サイトでご確認いただけます。
(参照:国立天文台の公式サイトへ)

桜の時期が過ぎ、明るい時間帯が長く感じる時期となりました。ずいぶんと過ごしやすい気候となってまいりましたが、夜風はまだ少し肌寒い日がございます。
天体ドームでは例年半纏をご用意してお客様をお迎えしていましたが、本年も新型コロナウイルス感染防止の観点からご用意することができません。ドーム内は屋根が開いているため気温が外と同じで少々肌寒く感じることがございます。天体ドームにお越しの際は各自で防寒対策をされますようお願いいたします。特に温泉に入られてからの来場は湯冷めをしやすくなります為お気をつけ下さいませ。

4月のご宿泊・空室カレンダーはこちら

天体ドームご予約方法

詳細情報

開館時間…19:30~22:10
休館日…毎週火曜日
場所…大谷山荘屋上(8階ギャラリーに併設)
料金…ご宿泊のお客様無料
ご利用方法…事前予約制。ご宿泊日までは予約センター、当日はフロントまでお問い合わせ下さいませ。
※現在人数制限をしてご案内致しております。

観測スケジュール

19:30、19:50
20:10、20:30、20:50
21:10、21:30、21:50

ご予約方法

上記よりご希望の時間をお知らせくださいませ(お電話またはご要望欄に記載くださいませ)。
※満席の場合や天候によりご覧いただけない場合がございます。
※天候により星空が観測いただけない場合は、過去の映像をご覧いただけます。

 

天体ドームからの情報一覧へ

■よくある質問 
「なぜ、屋上に天体ドームがあるのですか?」

「お客様にも長門の美しい星空を眺めていただきたい」長門/仙崎出身の金子みすゞ氏の詩を愛する
当館相談役の発案で屋上に設置いたしました。
実は、金子みすゞ交流会のご縁で出会った理学博士佐治晴夫先生のお言葉「目に見えるものが、
全てではありません。真昼のお星をご覧いただきましょう」と、玉川大学の天文台で見た真昼の星の美しさに
感動したことが始まりでございます。 
のどかな里山の自然に包まれた長門の夜空の記憶を、旅の思い出にお持ち帰りくださいませ。

星空についての豆知識

光の速度
  • 光は1秒間に約30万Km(地球を7周半)進み、1年では9兆4600億Kmにもなります。
  • 太陽の光は地球に達するまでに8分19秒かかります
  • 月の光は地球に達するまでに1.3秒かかります
宇宙の距離単位
  • 宇宙はとても広大なため、星と星の距離単位として「光年」「天文単位」を用います。
  • 1光年=光が1年間に進む距離(9兆4600億Km)
  • 1天文単位=太陽と地球の距離(約1億5000万Km)
地球の時間
  • 1日は24時間ですが、地球の自転(1回転)の時間は23時間56分と約4分程ずれが生じます。
  • 「うるう年」を設けて調整しているのは、公転周期が365日に少し足りないからです。
  • 地球の自転(23時間56分)=400m/秒
  • 地球の公転(365日)=30km/秒
もっと詳しく星空のことを知りたい時は、 「国立天文台ほしぞら情報」 のサイトが大変参考になります。ぜひご覧になってくださいませ。